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【外信コラム】西海岸から AP通信の憂鬱
このニュースのトピックス:米国
AP通信といえば、世界最大の通信社である。ところが、サンフランシスコ市はそのAPを平気で袖にするのだから、度胸がある。
9日の聖火リレーでは物理的な場所の制約から、代表取材制がとられた。代表取材とは、少数の社にだけ取材を許可するかわりに、許可された社は取材内容を他社に提供する義務を負うというものだ。APは、その一員だった。
代表取材陣には通常、詳しい情報が提供され、手厚い待遇を受ける。なぜなら、代表取材陣は自社の看板だけではなく、現場に居合わせることができない他のメディアをも背負っているからだ。
だが、出発地点の指定場所に待機していた代表取材陣には説明がないまま、聖火と走者を乗せたバスが移動を始めた。そして、黄色く塗られたいかつい水陸両用車がバスを追尾し動き出すと、取材陣も、ただならぬ気配を感じたという。
混乱が極まるなか、地元紙クロニクルなどの少数の記者は水陸両用車に飛び乗った。それが正解だった。APの記者も迷ったというが、当局に「別の車が来るから」といわれあきらめた。ところが、別の車など来なかった。
「国家元首や英女王、ローマ法王の取材もしたが、今日は記者人生で最悪の日だよ」とは、AP記者のぼやきである。(松尾理也)