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【主張】米露首脳会談 先送りされた新冷戦解消
ブッシュ米大統領とプーチン・ロシア大統領は黒海沿岸のソチで開かれた首脳会談で米露協調の指針となる「戦略枠組み宣言」に調印したが、主要な対立は平行線に終わり、「新冷戦」状態の解消は先送りされた。
「宣言」には、来年失効する戦略兵器削減条約(START)に代わる核削減協議、対テロ、気候変動などの協調分野が書き込まれたものの、ミサイル防衛(MD)の東欧配備計画に対するロシアの反対が明記された。
ウクライナ、グルジアを北大西洋条約機構(NATO)の加盟候補とする東方拡大でも、プーチン大統領は「ロシアの考えは変わらない」と反対を貫いた。このため先にブカレストで開かれたNATO首脳会議でも、最終決定を延期せざるを得なかった。
ブッシュ、プーチン両氏が述べたように、冷戦は終わり、ロシアは米欧の「敵」ではなくなった。戦略核削減、北朝鮮・イランの核問題などロシアとの協調なしに解決できない問題も増えている。
にもかかわらず、プーチン体制下のロシアと米欧の関係には冷たい空気が強まる一方だった。
その背景には、国内で強まる強権的体質に加え、エネルギー資源や対イラン関係などを人質にした形のいわゆる「ごね得外交」への不信がある。旧ソ連諸国への「勢力圏」の維持にこだわる姿勢を冷戦型思考と批判する声もある。
ブッシュ大統領がロシアとの協議継続を約束する一方で、東方拡大やMD配備の推進姿勢を貫いたのは正しい。冷戦後、どんな機構に所属するかは各国の主体的判断に委ねるべきで、「ロシアに拒否権を与えない」というのがNATOの一貫した原則だからだ。
米国とNATOはこの原則を曲げてはならず、今後の対ロシア協議にあたって、改めて結束を強化すべきだ。米欧から見たロシアの現状は「敵ではないが、頼れる友人でもない」ということだ。米欧も忍耐と協調を迫られるが、ロシアも世界からどう見られているかの自省を深めてもらいたい。
対ロシア協調やアフガニスタン問題など米国とNATOがめざす方向は、日本とも共有する部分が少なくない。NATOは来年、創設60年を迎える。昨年1月、当時の安倍晋三首相が価値の共有を含むNATOとの協力強化の一歩を踏み出した。今後もそうした連携と協調を深めていきたい。