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【深層・米大統領選】「両刃の剣」の人種問題 (1/2ページ)
星条旗を背に、人種問題について演説する民主党のバラク・オバマ上院議員(46)の表情は、やや硬かった。3月18日、ペンシルべニア州フィラデルフィア。宗教と並び最も繊細なテーマで、自身を含む大統領候補指名を争う面々が正面から論じるのを避けてきた人種問題を、オバマ氏が取り上げたのには理由があった。
神妙に釈明
オバマ氏は20年以上にわたり、地元シカゴにある「トリニティ・ユナイテッド教会」のジェラマイア・ライト牧師を、精神生活の師とあおいできた。その彼が「黒人は非人間的に扱われるべくのろわれている」と、人種対立をあおる過激な説教をしていたことが報じられ、「人種間の融和」をうたうオバマ氏も、釈明を迫られたのだった。
オバマ氏は、人種隔離政策が残る時代に成長したライト牧師の世代がもつ怒りに理解を示しつつ、ライト牧師とは一線を画する姿勢を明確にした。「怒りは常に生産的なものではなく、真の問題解決から注意をそらせることも多い。すべての人種が協調して問題解決にあたるべきだ」と呼びかけたのである。
この演説はおおむね好意的に受け止められた。23日付のニューヨーク・タイムズ紙は、公民権運動以後、政治家が人種問題をめぐり歯切れの悪い発言を繰り返してきた中で、オバマ氏の言葉は「真(しん)摯(し)で詳細」と評価した。シカゴ・トリビューン紙も「オバマ氏以外にこうした演説ができる候補者がいるだろうか」と論評した。
ライト牧師の発言が明らかになって以降、急落した支持率も、この演説後に持ち直した。ウォールストリート・ジャーナル紙は、民主党の世論調査担当者の「オバマ氏は人種問題が選挙活動の命取りとなる前例を打ち破った」との発言を紹介した。
演説には矛盾
しかし、オバマ氏と同じく黒人の父と白人の母を持ち、「なぜわれわれはオバマ氏に熱狂し、かつ彼は勝てないか」の著者で、米スタンフォード大フーバー研究所のシェルビー・スティール研究員は冷ややかだ。


