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【早読み/先読み アメリカ新刊】ヒラリーはどんな政治を行うのか (4/4ページ)
クリントンイズムの継承の先にあるもの
「ビル・クリントン政権の8年間の政治を米国民がどう評価するのか。それによって米国民はヒラリーを大統領にするかどうかを決めるだろう」
こう論じているのは、ニューヨーク・タイムズの政治記者、マット・バイだ。「民主党員はクリントン政治について複雑な感情に抱いているし、一般国民は、その政治がヒラリーの下で再現することが果たしてアメリカにとっていいことなのか悪いことなのかを今計りかねている」(同紙サンデー・マガジン07年12月23日付)というのである。つまりヒラリーは変革というが、やろうとしていることは夫がやり残したことを続けることであり、8年前の原状回復にすぎないのではないのかというわけだ。
確かにビル・クリントンの政治は当時は新鮮だった。それまでなかった「グローバリゼーション」という言葉も、「ニュー・エコノミー」も、「インフォメーション・エイジ」も、ビルが作った言葉だった。クリントン政権下で米国民は経済的繁栄を満喫したとする声はいまだに多い。歴史学者デービッド・ケネディは「クリントンは経済的挑戦と国際的な挑戦をシンセサイズ(統合)した21世紀初の米大統領」と定義づけ、「偉大なる消費」の時代を作り上げたとも指摘している。
その一方で、「ねじれ議会で共和党の賛同を得るためには、持ち前のプラグマティズムを実践し、民主党を中道路線に乗せた。だがその結果、あまりにも保守派に妥協するあまり本来のリベラリズムを堕落させ、政治にシニシズム(冷笑主義)をもたらした。そして2000年にはジョージ・W・ブッシュの共和党にに政権を奪われた」(バイ)といった厳しい見方もある。
さて、ヒラリーがこのクリントンイズムを踏襲するとしたらアメリカはどう変わっていくのだろうか。(高濱賛)
■高濱 賛(たかはま・たとう) 在米ジャーナリスト。米カリフォルニア大学バークリー校卒。読売新聞社でワシントン特派員、調査研究本部主任研究員(日米関係、安全保障)などを歴任。99年より米パシフッィク・リサーチ・インスティチュート所長。著書には、『中曽根外政論』『レーガンの次は誰か』『日本の戦争責任とは何か』『アメリカの歴史教科書が教える日本の戦争』『捏造と盗作』など、訳書に『アメリカの内戦』『マイティ・ハート』など。

