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【早読み/先読み アメリカ新刊】ヒラリーはどんな政治を行うのか (2/4ページ)
筆者は、これまでにもジョン・F・ケネディ大統領やイギリスのダイアナ妃の生涯を描いて好評を博している。その手法は、本人を取り巻く知人や友人をしらみつぶしに調べ上げて直接取材すること。今回も160人以上のヒラリーの友人、知人、同僚やかつての部下たちにインタビューし、さらに数千点に上る新聞、雑誌の記事はもとより、65冊の参考文献、ビル、ヒラリーのこれまでの公式非公式の演説・講演やコメントをすべてチェックするなど緻密(ちみつ)な作業を経て、情報を収集している。
また、ビビッドな表現とこなれた文章で読みやすいのもスミス氏の作品の特徴といえる。最初に出てくるエピソードなどはそれだけでヒラリーの性格をずばり表していて面白い。
1998年冬。その年の1月21日にホワイトハウスの研修生モニカ・ルインスキーとビル・クリントンとの「不倫」がメディアによって報道され、初めビルはこれを全面否定していた(その後、前言を翻すことになるのだが)。恒例のホワイトハウスでの映画会が催され、大統領夫妻のほか50人の親しい友人が招かれていた。映画は3年ほど前に封切られた「Something to Talk about」。ジュリア・ロバーツ主演のコメディーだ。娘と車で通りかかった街角で夫が金髪美人とキスをしているのを目撃してしまう。怒った妻は夕食に催吐剤を混ぜて夫に食べさせる。激しい嘔吐(おうと)で夫は病院に担ぎ込まれる。
これを見終えたヒラリーは、隣に座っていたアーカンソー州時代からの付き合いで、夫の不倫で離婚経験のある女性に、「いいこと、あなたもあれを調合して半分を旦那(だんな)さんに飲ませ、残りを私にくれればよかったのに」とささやいたという。そしてふたりで大笑いしたというのだ。
その女友達は、「どんな苦境にあっても怒りや嫉妬心を笑い飛ばすことで解消していくヒラリーには舌を巻いたわ」と回顧する。その強靭(きょうじん)な精神力はいったい、どこからくるのだろうか。

