ニュース: 国際 RSS feed
【産経抄】1月5日
このニュースのトピックス:米国
ヒチコック監督の『北北西に進路を取れ』に有名な「ラシュモア山の死闘」がある。ワシントン、リンカーンら米国民に人気の高い4人の大統領の顔を彫った絶壁の上でケーリー・グラントと悪党とが闘いを繰り広げる。手に汗握る場面だった。
▼そのラシュモア山のあるサウスダコタ州の隣、アイオワ州で第44代米大統領選出に向けての「死闘」が始まった。この州の党員集会で、共和、民主両党の候補者選びが火ぶたを切ったのだ。今年は史上最も早い党員集会だといい、11月の本選挙まで気が遠くなる長期戦が続く。
▼アイオワは米中西部、どこまでもトウモロコシ畑が続く小さな州だ。ここで真っ先に候補者選びが始まるのは、目立たない州が全国に存在をアピールするためだそうだ。今回も他州が党員集会などを前倒しするのを制し、トップバッターの座を守ったという。
▼いかにも州の自立性が強く、その自己顕示が国の活力を生んだ米国らしい競争である。立候補者たちも、州に負けず自己顕示に満ち満ちているようだ。特に民主党のオバマ、クリントン両氏ら個性派が多く出ているのも、今回の大統領選を過熱させている一因だ。
▼だが、その過熱ぶりにもうウンザリという声も米国内に出始めている。運動資金の膨張ぶりや「選挙疲れ」を心配する声、有権者の7割は選挙戦の短縮を望んでいるという調査結果もあるという。ラシュモア山の先輩大統領たちも苦笑しているかもしれない。
▼もっとも日本から見れば結構おもしろい政治ショーだ。「正論大賞」を受賞する佐伯啓思京大教授は本紙の記念対談で「日本はアメリカの都合のいいところだけ理解しています」と語っていた。同盟国の多様性を学ぶためにもじっくり見守りたい。