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【主張】米中ホットライン 台湾とも信頼醸成措置を
中国を訪問したゲーツ米国防長官が、曹剛川国防相との会談で米中の軍事ホットライン開設に合意した。中国が外国と軍事ホットラインを設けるのは初めてで、両軍事大国間の信頼醸成と偶発的紛争の回避に役立つことが期待できる。
中国は日韓ともホットライン開設を検討しているが、これを機に最も紛争が起きやすい台湾との間でも軍事当局間の意思疎通の枠組みを設けるよう望みたい。
軍事ホットラインの開設はかねて米国が提案してきた。だが、中国軍が手の内を知られることを警戒して応じなかった。中国側の変化の背景には、過去19年間の急激な軍拡で一定の対米抑止力を備えたとの自信がある。
米中関係は1999年の米軍機によるベオグラードの中国大使館誤爆や、2001年の米軍偵察機と中国軍機の接触事故などで険悪化、軍事交流も中断した。しかし、テロとの戦いに追われるブッシュ政権が北朝鮮の核問題の解決に中国の協力を求め、中国は台湾の独立阻止に米国の影響力行使を期待して関係修復が進んだ。
両国国防相の相互訪問を経て、昨年4月の胡錦濤国家主席訪米時に軍事交流の一段の拡大で合意した。今回のホットライン開設もその一環だ。
米国の最大の懸念は、独立志向を強める台湾と中国の対立が激化して中国と米台の戦争に発展することにある。「海洋強国」をめざして外海進出を本格化し始めた中国海軍との偶発的な衝突回避の必要性も強まってきた。
一方の中国は富国強兵路線を継続することで、国内の安定と台湾統一に備えた軍事力の強化に邁進(まいしん)している。当面は近隣諸国・地域との平和な環境を維持したい。こうした米中双方の思惑が軍事ホットライン開設につながったとみられる。
中国の変化は評価できるが、これだけでは不十分だ。ゲーツ長官は曹国防相との会談で、国防予算の透明度向上や急速な軍拡の真意の説明を求めた。胡錦濤政権が真の「平和発展」「和諧(わかい)(調和)世界の建設」をめざすなら、率直にこたえてもらいたい。
中台戦争を起こさないためには、台湾当局との信頼醸成と偶発的紛争を防ぐための政治、軍事対話の枠組みを作ることが何より重要だ。