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無能力化作業開始も年内完了目標は不透明
【ワシントン=有元隆志】北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議の合意に基づき、寧辺の核施設を当面稼働できなくする無能力化の作業が始まった。米政府は「年内に完了したい」(ケーシー国務省副報道官)考えだが、作業が順調に進むかどうかは、核計画の申告や見返り措置をめぐる今後の交渉とも絡み不透明だ。
無能力化は核施設の凍結と解体の中間的概念として位置づけられ、ヒル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は「稼働再開が難しく、費用がかかる状況」と説明する。
米側は施設の一部破壊も求めたが、北朝鮮側は「解体を意味する」と受け入れなかった。それでも、ブッシュ政権は実現すれば、凍結にとどまったクリントン前政権下の米朝枠組み合意を上回ると、意義を強調している。
無能力化の対象は実験用黒鉛減速炉(5000キロワット)、再処理工場、核燃料棒製造施設の3施設。工程は10段階程度となる。ヒル次官補は3日の記者会見で、再処理施設から始め、核燃料などを運び入れる機材のチェーンを切断すると述べた。
原子炉から取り出した燃料棒は貯蔵プールに保管される。元国際原子力機関(IAEA)査察官のデービッド・オルブライト氏らが米研究機関「平和研究所」に提出した論文によると、プールに移した燃料棒を再び原子炉に戻すのは難しく、核燃料棒を製造するには半年から1年かかる。
ただ、プールは汚れており、純化しないと作業員が放射性疾患にかかる可能性がある。米エネルギー省職員として、寧辺に滞在したことのある米戦略国際問題研究所(CSIS)のジョン・ウォルフスタール上級研究員は、寧辺の核施設について「ジェームズ・ボンドの映画に出てくるような先端施設とはほど遠い。悪の枢軸の核中枢部というよりも、廃品置き場に近い」と形容する。
ヒル次官補もプールの汚染除去作業を早急に行う方針を示すとともに、作業には数週間以上かかるとの見通しを示した。ウォルフスタール氏は必要な機材の調達、協力的でない北朝鮮の技術者との折衝など多くの課題を抱えるとも指摘する。
しかも北朝鮮は無能力化の作業は、テロ支援国家指定解除問題などと並行して行われるとしており、米側を揺さぶるため作業を遅らせることも想定され、年内実現を危ぶむ声も出ている。