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米国で「腰パン」規制の動き

2007.9.21 08:12
このニュースのトピックス防災・交通安全
ズボンをズリ下げて下着を見せる米国の黒人男性。尻までみせる「腰パン」の過激化で規制の是非論が活発化している(AP)ズボンをズリ下げて下着を見せる米国の黒人男性。尻までみせる「腰パン」の過激化で規制の是非論が活発化している(AP)

 ■「わいせつ」根拠、効果は疑問

 ダブダブのズボンをズリ下げ、下着を見せて街中を闊歩(かっぽ)する若者のファッション、「腰パン」に対し、流行の本場、米国で待ったがかかりだした。「公然わいせつ」などを理由とし禁固刑をも科す規制条例が、一部地方で施行されたのを機に、ジワリ広がる気配をみせている。個性の尊重か公序良俗か、ルーツは黒人だけに、人種問題とも相まって論議を呼んでいる。(外信部 犬塚陽介)

 パリ発行の国際紙、インターナショナル・ヘラルド・トリビューンによると、米南部ルイジアナ州のデルカンバーでこの6月、最高で罰金500ドル、禁固6月を伴う腰パン禁止条例が施行され、同州のマンスフィールドでも9月から条例運用が始まり、南部ジョージア州の都市アトランタでも導入が検討されている。

 規制論が浮上してきた背景に、下着どころか尻まで露出する過激な腰パンが目につくという状況がある。

 デルカンバーの町長は同紙に、「長髪が流行した時代もあったが、腰パンほどの不作法はないと思う」と嫌悪感を示し、規制推進派住民も「何を着るか法規制はできないが、どの時点でわいせつとなるかの規制は可能」と正当性を訴える。

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 腰パンは、米国の刑務所で事故防止のため、囚人たちにサイズの大きな服をベルトなしで着用させたのが原点ともいわれる。「刑務所帰り」を誇示する貧困層の黒人やヒスパニック(中南米)の間に広まり、ヒップホップ文化の後押しで世界的な流行の波に乗った。

 それだけに、腰パン規制に対し、「黒人文化の不当な差別」との声が上がっているのは半ば当然だとしても、論議には黒人間の意見対立まで絡んでいるというから、事情は複雑である。

 在米コラムニストの町山智浩さんは「きちんと教育を受けて、政治にも参加して地位向上を訴える黒人と、白人に反発して怒りを示す黒人との間で意見が対立している。一種の政治対立に近い」と指摘する。

 確かに、アトランタ市議会ホームページによると、条例を提案した市議4人はいずれも黒人であり、その規制対象となるのも、もっぱら黒人の若者である。

 町山さんは「1970〜80年代の黒人は美しい体形を強調する体にピタリとした服装をしていた。そうした世代にダボダボの服装は受けいれにくいはず」と、そこには世代間対立も入り込んでいると分析する。

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 論議はさておくとして、そもそも規制条例に効果などあるのか。米国内では疑問視する声も強い。警官の前ではズボンを上げるなど抜け道は無数にあって、根本的なマナーの改善には至らないとの見解である。

 服飾評論家のピーコさんは「自己主張とマナーの両立を一人一人が考えることが必要だ」との立場だ。

 「人間は1人では生きられない。だからこそ、他人を思いやり、その中で個性を発揮することが重要。規制されるのではなく、自分でバランスを考えないと」

 身の丈を知ることが、「本当のかっこよさ」とピーコさんは強調する。ただ、日本人の腰パンについては、「基本的に着崩しではなく土砂崩れ」と辛口だった。

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ズボンをズリ下げて下着を見せる米国の黒人男性。尻までみせる「腰パン」の過激化で規制の是非論が活発化している(AP)
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