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【産経抄】1月5日
今年も巣ごもりの正月だった。駅伝、サッカー、ラグビーにアメリカンフットボール…学生スポーツのオンパレードに目移りしているうちに、日が暮れてしまう。若者たちの熱い戦いぶりが、まぶしく感じられ、涙腺がゆるみがちなのは、馬齢を重ねたせいか。
▼優勝候補が早々に脱落したかと思えば、新たなヒーローが誕生する。大人たちの小ざかしい予想が、はずれるのが小気味いい。若者の可能性など、誰も見通せるはずがない。全国高校サッカーでは、3回戦で3得点ずつを挙げた国学院久我山のFW川久保理(おさむ)選手とMF田辺草民(そうたん)選手の活躍に目を見張った。
▼卒業後にJ1、FC東京入りが決まっている田辺選手に対して、川久保選手は、医者をめざして大学受験に挑むという。プロスポーツと違って、選手たちの将来の夢はさまざまだ。グラウンドで培った精神力が、それぞれの人生でどう生かされるのか、想像する楽しみもある。
▼小紙の新春対談で、将棋界の第一人者、羽生善治棋聖が、若者の可能性を潜在能力と言い換えて、その「すごさ」を語っていた。最近の将棋の最先端の形は、まだプロになっていない若手から出てくるケースが多いのだという。100年に1度の変革期を切り開いていくには、こうした新しい発想が欠かせない。
▼もっとも、若者の可能性を感じるのは、厳しい勝負の世界だけではない。先月中ごろ、東京都府中市で起きた民家の火事で、近所に住む高校3年生の松本優士さんが、バケツの水をかぶって室内に入り、住人を救い出した。
▼テレビの取材にはにかんでいた松本さんは、仕事や住居を失った人たちの支援を行っているボランティアの若者たちと、同じ笑顔をしていた。春の日差しのように暖かかった。
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