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余裕を生んだ山瀬功のゴール サッカー東アジア選手権
大声援に包まれたスタジアムが、水を打ったように静まりかえった。前半17分、駒野の左クロスをGKが弾いたこぼれ球が山瀬功のもとへ。右足の豪快なボレーが、中国のファンを黙らせた。
山瀬功は両ひざのじん帯断裂や椎間板ヘルニアなど、けがに悩まされてきた。今回も中国入り前の右太もも裏痛で北朝鮮戦を欠場。それだけに、右ひざを痛め帰国した前田の無念さがわかった。「僕も大変なことがあった。辛抱しよう」。前田にこう声をかけ、自らに気合を入れて臨んだ試合。「何も考えず打った。楽しかった」と笑顔を見せた。
スタジアムは満員にならず、敵意むき出しのブーイングは少なかったが、不可解な判定を連発する主審に引き出されるかのようなラフプレー。間違いなく完全なアウエーだった。だが、前半はもたつく場面もあったが、岡田監督が「私が1人興奮していた」とたたえるほど、後半はピッチ上の選手が冷静に試合を進めた。
試合後も、口々に「アウエーは気にならなかった」と話した若い選手たち。ロングボール一辺倒の中国の攻撃を読み、後半はほとんど危ない場面がなかった。「これだけ短時間で修正できたのはいいこと」と鈴木が手応えを得たのも、チームに余裕を与えた山瀬功の先制点があったからだ。
W杯への道のりにも、厳しいアウエー戦が何試合もある。「これからもやることは1つ。日本らしいサッカーをする」。最良の成功体験をもたらした背番号「10」が輝いていた。(森本利優)