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【人】常翔啓光学園高ラグビー部監督 杉本誠二郎(すぎもと・せいじろう)さん37歳
勝ちどきをあげる教え子たちを、うれしそうに背伸びをしながら見つめていた。「生徒のこの笑顔が見たかったんです」。かつて常勝軍団と呼ばれたチームも近年は低迷が続き、4大会ぶりの全国制覇。それでも、「今年度は楽しかった思い出ばかり。涙は出ません」。最後まで笑顔がたえなかった。
知将・記虎敏和前監督からチームを引き継いだのが5年前。前監督が偉大だったからこそ、早く独自色を出すことにこだわった。「今思うと、自分のラグビー観を生徒に押しつけていただけだった」。就任1年目にチームを全国4連覇に導いたものの、翌年は準々決勝敗退。練習法を変えるなど試行錯誤を繰り返したが、最近2年間は全国大会にすら進出できない辛苦を味わった。
「今までのやり方では結果を出せない」と気づいたとき、今年度の生徒の明るさを目の当たりにした。練習中も笑顔をたやさない。「緊張感がなさすぎる」と感じることもあったが、自然と生徒との日常会話は増えた。自分一人で考えていたメンバー編成も、今季は生徒の意見を取り入れるようになった。合宿中も夜中の2時や3時まで生徒と語り合った。悪ふざけした生徒から呼び捨てされることもあるが、「友達感覚になれたのがうれしい」とほおをゆるめる。
学校の机の上には、書道の先生に書いてもらった「思いやり・感謝」という言葉を飾っている。啓光学園から校名が変更した節目の年にチームは復活したが、「たまたま今のチームに出会えただけです」と生徒をたたえる。「生徒がスポーツを楽しむことができる環境をつくってあげること。それを指導の柱にしていきたい」。うれし涙を流す生徒などいない。笑顔に包まれながら、何度も宙を舞った。(丸山和郎)
■すぎもと・せいじろう 昭和62年に啓光学園高(当時)に入学。大阪体育大を卒業後は日本IBMに就職。平成12年に母校・啓光学園高の教員、ラグビー部コーチとなり、16年に監督に就任した。


