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【一服どうぞ】裏千家前家元・千玄室 人馬一体で友好の祭典へ

2008.7.6 04:00

 北京オリンピックが間近に迫ってきた。私も馬術を通して関わるのであるが、馬術競技は香港での開催になる。

 膨大な資金と人の動員力が必要で、とうてい出来そうもない、また間に合いそうもないと思われたことどもが実現している。号令一下、強力な国家統制の可能な国ならこそと感心してみたり、半ば呆(あき)れたりもする。

 一方、チベットの問題も暴動にまで展開し、またオリンピックの施設建設のため、家を立ちのかされた人々が右往左往して国を提訴している。そして不幸にも四川省に大地震が起こった。大変な難問題をかかえての開催である。多くの人は不幸な地震の復興救済こそ第一義であり、オリンピックどころではないと思っている。

 もっともなことだが、オリンピックはスポーツを通して、あらゆる人々が親しく交われる唯一の祭典である。国と国との争いや国内の諸問題も一時お預けし、オリンピックの期間中は、世界の人々があらゆるスポーツに集中するのである。自国の選手がどれだけ活躍してくれるか、また他の国の選手の記録はどうかと、俄(にわ)か評論家となって熱く語り合う。どれほど巧妙な外交的折衝よりも、世界の融和に大きな効果が表れるのがオリンピックである。中国は何としてでもこれを成功させなければ、国としての面子(めんつ)が立たないし、一党独裁の政治力が失墜する恐れも出てくる。しかし、隣国の韓国と日本は、この祭典が穏やかに、そして楽しめるものになるように、是非(ぜひ)とも支援をする必要がある。アジアが一体となって、世界に平和を発信させていくよき機会である。

 私は少年のころより父に乗馬を勧められ、中学(当時5年制)の上級生のころには一角(ひとかど)のライダーとなった。大学予科で馬術部員、そして大学では、午後からは毎日のように馬との生活であった。2年生の時に徴集されて海軍に入隊し、馬とは関係のない飛行科士官として、約2年間航空隊に勤務。そして特攻隊員となったが紙一重で生き残った。運命である。

 その後、1953(昭和28)年ごろから再び馬との出合いがあり、今日では日本馬術連盟会長、アジア馬術連盟名誉会長として、半世紀にわたる馬術とのご縁である。

 今回のオリンピックは北京に馬の検疫施設がなく、英国の統治であったために、競馬場や馬術施設のある香港で馬術競技を行うことになった。ヨーロッパを転戦し、国際的技術を身に付け、人馬一体を極めて最終調整を終えた日本の選手たちが、7月下旬には愛馬ともに香港入りする。私は団長として選手団(馬も含む)・監督・スタッフ等とともに8月の試合に臨む。

 香港の8月は極暑の上、鬱陶(うっとう)しい湿気で大変なので、夜間に行われる試合が多い。馬の体力の調整などに手がかかるが選手も同様である。何とかして良き成績をと望んでいる。

 また折角(せっかく)の友好親善の場となるスポーツの祭典が、一部の心なき人々によって妨害されたり、万一の何かが起こったりしないように、警備をしっかりとして、参加する人々が快く観戦できるように手配されることを当局に望んでいる。(せん げんしつ)

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