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快挙の武藤「これからは優勝だけに集中」 インディカー

2008.6.23 21:29
このニュースのトピックスモータースポーツ
日本人で初めてインディカーの表彰台に立った武藤(本田技研提供)日本人で初めてインディカーの表彰台に立った武藤(本田技研提供)

 快挙を果たし、表彰台に立った武藤英紀。だがその笑顔は、どこかかげっていた。

 「2位はうれしい結果ですが、(優勝した)ダン(ウェルドン)を抜けなかったことが悔しい、という感じが強い」

 22日、米アイオワ州ニュートンで決勝が行われた米最高峰の自動車レース、インディカー・シリーズの今季第8戦。ルーキーの武藤は2003年6月の第5戦で高木虎之介が記録した3位を上回る、日本人史上最高の2位でチェッカーを受けた。

 序盤からマシンのグリップ不足に苦しんだが、ピットインの度に調整しペースを上げると、終盤は燃費を抑えてピットストップ回数を減らす作戦に変更。他車のクラッシュでフルコースコーション(ペースカー先導で追い越し禁止)となった 191周目、他車がピットに入る間もコースに残り、2位に浮上した。

 「実力というより作戦面による2位。複雑な心境でした」

 東京都中央区生まれの25歳。実家は築地市場で鮮魚仲卸の老舗「布袋寅(ほてとら)」を営む。普通なら4代目を継ぐところだろうが、小さいころから車好きだった少年の目は世界を見ていた。

 中学の卒業式翌日には「同じレースをするなら本場で世界を相手に戦うべきだ」と、辞書を片手に単身渡英。とはいえ英語もできず、チームとの契約もない状態で飛び込んだのは、まさに江戸っ子の“面目躍如”だ。

 ホームステイ先の八百屋を手伝いながら英語を学び、見学に行ったサーキットでチームに申し込んでテスト走行の機会をもらい…と、4年間、体当たりでたたき上げた。

 帰国後はホンダの若手育成プログラム、フォーミュラ・ドリームで03年にシリーズ王座を獲得。ホンダの支援を得て、06年には国内最高峰のフォーミュラ・ニッポンなどに参戦した。

 転機は07年。ホンダから米への移籍を打診された。ただし、インディカーではなく、一段下のシリーズ。Fニッポンからはステップダウンだ。「迷った」

 だが、世界で戦いたいという思いは強かった。新天地で初年度、シリーズ2位。その走りを認められ、今季はトップチームのAGRでシートを得た。F1なら新人がフェラーリやマクラーレンに乗るようなものだ。

 だからこそ表彰台だけでは満足できない。「一つハードルを越えることができた。これからは優勝だけに集中していきます」。江戸っ子レーサーにとって、これは通過点に過ぎない。(只木信昭)

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日本人で初めてインディカーの表彰台に立った武藤(本田技研提供)
日本人史上最高位へ向けてひた走る武藤(本田技研提供)
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