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【114の金物語(54)】1972年ミュンヘン大会 体操・男子個人総合 加藤沢男
五輪初の団体4連覇を果たした体操ニッポンの次の関心は、個人総合を誰が制するか−だった。
今大会から、団体の得点の半分を持ち点とし、改めて上位36選手が自由演技を行って優勝者を決める方式に変更された。持ち点は(1)加藤沢男(2)監物永三(3)笠松茂(4)中山彰規(5)アンドリアノフ(ソ連)−で、その差は1点以下。
個人総合連覇を目指す加藤は、メキシコ五輪で腰を痛めた後、アキレス腱(けん)を切り、今大会の直前にも右肩と左ひじを痛めた。最初の床運動で9・25。とたんに2位転落。5種目を終えて4位のアンドリアノフに0・150差と迫られ、メダル確保すら危うい状況となった。
「苦しくて動けないくらいだった」というが、最終種目の鉄棒で後方2回宙返りのウルトラCを決め9・75。0・075差で首位の監物を逆転し連覇を達成した。
「何度、体操をやめようとしたか。くじけそうな気持ちを払いのけたのは、五輪個人総合2連勝を達成したい気持ちがあったから」と述懐した。体操ニッポンのエースにふさわしい闘志だった。