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【114の金物語(51)】1968年メキシコシティー大会 レスリング・グレコ・ライト級 宗村宗二
決勝リーグ前夜、宗村宗二が選手村のベッドで見たのは、生まれ育った新潟県の蒲原平野で300キロ級の食用ガエルを捕まえた夢。3人で争う決勝リーグでは、まずギリシャのガラクトポウロスに判定勝ち。続くユーゴの英雄、ホルバトも夢で見た大ガエルとばかりに追いかけ、引き分けた。3時間後、ホルバトとガラクトポウロスが引き分けたため、宗村の金メダルが決まった。
名門・明大レスリング部でグレコに転向。フリー全盛の当時、“失格”の烙印(らくいん)を押されたも同然のことだった。在学中は生活費を稼ぐためにアルバイトをしなければならず、卒業後に就職した運送会社は倒産。
「ツイてない男」の最大の悲運は明大3年時。東京五輪の最終予選で優勝しながら、実績不足から代表になれなかった。選ばれた藤田徳明は4位。雪国育ちのおとなしい男は、不運の陰で雑草さながらのねばり強さを増した。
金メダル獲得後、「未練はない」と引退。再びサラリーマンとして、第2の人生を歩きだした。