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【114の金物語(46)】体操・男子個人総合 加藤沢男
強豪がひしめき「五輪に勝つよりも、代表になることの方が難しい」といわれた体操ニッポンのエースとなった加藤沢男。中学1年で体操を始め「五輪選手になるなど考えてもいなかった」というが、恵まれた素質と感覚で頭角を現した。
個人総合で、最終種目の床運動を残して首位の世界王者、ボローニン(ソ連)と0.35点差。逆転優勝するには9.90の高得点が必要だった。床を得意とする加藤は華麗な演技をノーミスで行い、最後は後方回転からの伸身1回ひねりのウルトラCを決めた。
1万観衆は得点に注目したが、表示まで5分以上審議が続いた。9.90と採点する4審判員に対し、9.80を主張するソ連のムラトフ主審が再考を促したのだ。結局覆ることはなく、加藤は0.05点差で逆転優勝した。
当時22歳。五輪通算で日本選手最多となる金メダル獲得数8個を記録する加藤は「まだ子供で、がむしゃらにやったら勝っていた」と自身の第1号金メダルを回想した。