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聖火と市民との遮断「やむを得ない」警察当局
長野の北京五輪聖火リレーで、長野県警の石井隆之本部長は26日、「リレーの警備は無事終了した」とのコメントを発表した。逮捕者や負傷者が出たり、100人以上の警察官による人の壁に「何のためのリレーか」と声も上がったが、これまでリレーが行われた各国と比べても混乱を最小限に抑えたといえる。
聖火ランナーの直近を伴走したのは、白を基調としたスマートなジャージーに赤いキャップの警察官だった。「物々しさを薄め、ソフトな印象を与えるよう配慮した」(警察幹部)。
県警は当初、交通規制と沿道の雑踏整理を中心に、「聖火を安全に見てもらうための警備計画」を組んでいた。だが、チベット騒乱で情勢が激変。ロンドン、パリなどリレー開催地では聖火やランナーに対する妨害活動が相次いだ。善光寺も出発地を辞退し、警備計画の基本であるコースの変更を余儀なくされた。警備担当幹部は「前提が猫の目のように変わり、直前まで計画の細部の練り直しを続けなければならない異例の事態だった」と振り返る。
警察庁は最終的に、警視庁や関東管区機動隊などを投入、「皇室の地方視察並み」(警察幹部)の約3000人の警備を敷いた。各国の混乱をみれば、大警備はやむを得ない決断だった。
「聖火トーチが奪われたり傷ついたりすれば即、外交問題になる。その意味で、要人の地方訪問の警備と同等の微妙な警備だった」(同)。今回は、(1)聖火トーチへの妨害阻止(2)沿道観衆の事故防止(3)中国人とチベット支援者や右翼の衝突回避(4)周辺の静穏の確保−が重点に置かれた。右翼や中国攻撃を公言する個人・団体については、警視庁などから派遣した公安・外事の「面割り」のプロ捜査員が普段着で周囲に入り、動向監視に当たった。
東京から長野までの聖火移送に国賓来日時と同規模の態勢をとるなど前代未聞の警備の結果、ランナーへの直接被害は回避された。他国では距離が短くなるなどしたが、善光寺の出発地辞退前と、ほぼ変わらない18・7キロのコースでリレーを終えた。
日本は、7月に北海道洞爺湖サミットを控えている。サミットで、警察当局は国際テロ組織やグロバリーズムを唱える団体との“対峙”も想定しており、長野でのつまずきは許されなかった。警察幹部は「中国の聖火防衛隊の伴走者を2人に限り、公権力を行使しないとの確約も取り付けた。それだけにメンツにかけても、失敗は許されなかった」と総括した。