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【114の金物語(36)】1964年東京大会 体操・男子種目別つり輪 早田卓次
種目別でつり輪の決勝が行われた10月22日、日本勢は床運動、あん馬とミスで惜敗を続けた。つり輪でも、大本命とみられた遠藤幸雄が着地で両手を着く失敗。金メダルの期待は、24歳の早田卓次にかけられた。
十字懸垂、上水平を美しく決め、着地も成功させた早田の得点は、9・75(10点満点)。2位のメニケリ(イタリア)に0・05点の差をつけ、期待に応えた。「失敗をする心配は少しも感じなかった。ただ審判にどうアピールできるか、それだけを思っていた」
演技台を降りると、遠藤が真っ先に駆け寄った。高校時代に無名だった早田を、日大で最初に指導したのが、講師を務めていた遠藤だった。連日約3時間半の猛練習を課され、1年の終わりには右のアキレス腱(けん)を切って1カ月間入院したが、不満をもらさずに師事し続け、成長した。五輪の3カ月前には父・長之助さんを亡くした。師と父にささげる金メダルだった。
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