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【114の金物語(35)】1964年東京大会 柔道・重量級 猪熊功
猪熊功は1959年、大学4年時に初出場した全日本選手権の決勝で神永昭夫を破り優勝。学生の優勝は初、初出場優勝も初、最年少優勝の衝撃デビューだった。体重88キロと小柄だったが、名前どおりの攻撃柔道を武器とし、猪熊姓はのちに柔道漫画「YAWARA!」の主人公の名に使われた。
東京五輪前、首脳陣は、無差別級に出場する“オランダの怪物”ヘーシンクに、猪熊、神永のどちらを当てるか悩んだ末に、同年の全日本王者の神永を選んだ。猪熊は重量級に出場し、決勝では32キロも体重差のあるロジャース(カナダ)を攻めて優勢勝ち。腰椎分離症などを乗り越えての金メダルだったが、無差別級で神永が敗れたため喜べなかった。本人は「日本柔道すべてが負けた」とのちに語っているが、「猪熊ならヘーシンクに勝てたのではないか」とみる専門家もいる。
引退後は国際柔道連盟会長秘書などとして柔道界に貢献したが、2001年、社長を務める建設会社の経営難の責任を取り、同社社長室で日本刀で自身の頚(けい)動脈を切った。「死ぬも地獄、生きるも地獄」と遺書につづって。