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【114の金物語(27)】1964年東京大会 レスリング・フリー・フェザー級 渡辺長武
「アニマル」の異名で世界を恐れさせた。1962年、中大4年の渡辺長武が、特別参加した全米選手権で、最短20秒、合計で10分もかけず全6試合をフォール勝ちしたとき、現地の新聞が「あの強さは人間じゃない、アニマルだ」と書いたことから、アニマル渡辺と呼ばれた。
64年の東京五輪で、金メダルは確実視されていた。自信はあったが、最強ならではの重圧が襲う。「ねじ伏せてフォール勝ちしなければ…」。気持ちを落ち着かせるために選手村のサウナに入ると、先客にマラソンのアべべ(エチオピア)がいた。「走る哲学者」と評された男の落ち着いた姿を見て、渡辺の動揺は収まったという。
最強伝説を残して引退したが、46歳で現役復帰して世間を驚かせた。ソウル五輪を目指して87年の全日本社会人選手権に出場。17年ぶりの試合は3回戦敗退に終わった。世界の強豪相手に積み重ねた連勝記録を189で止めたのは、日本の23歳の無名選手だった。