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【主張】中東の笛の教訓 「スポーツ外交官」育成を
宴(うたげ)の後には、厳しい現実が待っていた。
やり直しとなったハンドボールの北京五輪アジア予選で、日本は男女とも韓国に敗れた。一躍、脚光を浴びた日本ハンドボール協会だが、国際ハンドボール連盟から、協賛金や放映権収入料を求められ、収支がトントンとなるかどうか微妙だという。まさに、泣きっ面にハチである。
いわゆる「中東の笛」と呼ばれる不公正な判定に対し、いち早く追及の火の手をあげたのは韓国だった。しかし、再試合が決まると、韓国は開催地をあっさり日本に譲るなど、対立を避けるようになった。代わりに矢面に立ったのは日本で、クウェートが実権を握るアジア連盟から「韓国より罪は重い」と反感を買ってしまった。
五輪切符を手にしたうえ、水面下で中東勢と融和を図るなど、したたかな韓国に比べて、日本は多くのものを失ったのではないだろうか。
アジアのスポーツ界をみると、「日本離れ」が強まっている。昨年、柔道のアジア連盟会長選挙で佐藤宣践氏がクウェート人に大差で敗れ、日本人が会長を務めるのは、アジア水泳連盟の古橋広之進氏のみとなった。同氏も今年80歳になるので、会長職から退くとの見方がある。
アジアで発言力を失い、足元が大きく揺らげば、2016年の東京五輪招致をはじめ、野球、ソフトボールの五輪復活も苦戦を強いられる。また、柔道、スキー・ジャンプなど日本が得意とする競技のルール改正に歯止めをかけることも難しくなるだろう。
このまま、引き下がるわけにはいかない。スポーツ外交力の大切さを認識して、世界に通用する人材を育てるときだ。
競技に精通しているだけではなく、広い視野、交渉力、情報収集力に加え、人脈づくりに必要な語学力が求められる。ハードルは高いが、やりがいのある仕事ではないか。
競技団体関係者からは、今年1月、東京に完成したナショナルトレーニングセンターを選手強化の拠点だけにせず、国際感覚豊かな人材を育てるアカデミーコースを設けてみては、というアイデアも出されている。
一日も早い「スポーツ外交官」の育成が待たれる。