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【やばいぞ日本スポーツ】(5)世界との差待ったなし

2007.12.27 03:13
このニュースのトピックスやばいぞ日本スポーツ

 ■エリート育成 視線は10年後

 雪の舞うクロアチアのザグレブ空港に日本から14人の男子中高生が降り立った。今月15日夜のことだ。日本水泳連盟水球委員会のカデットクラス(16歳以下)強化合宿に参加した選手たちだった。一行はそのままバスに乗り、約400キロ離れた街、スプリットに移動。24日に帰国するまで、各地を回りながら同年代のチームと7試合を行うとともに、ユーロリーグなど世界トップクラスの試合を観戦し、水球漬けの日々を過ごした。

 海外遠征初参加だったのは9人。短い間だったが、収穫は少なくなかった。引率した同委員会育成担当の榎本至氏は「パワーの違い、テクニックなど、海外選手のプレーに驚き、一方で日本人のスピードが通用することも感じたはずだ」と話す。同委員会の原朗強化本部長は「世界の水球がどんなものか、国と国の戦いはどういうものかを分かってもらいたい」と意図を説明する。

 水球は、北京五輪の世界予選への出場を見送るなど、メダル有望種目の競泳やシンクロナイズドスイミングに比べて国際競争力が著しく劣る。それだけに将来を見据えた取り組みは真剣だ。16歳以下の強化に本格的に乗り出したのは2002年。きっかけは前年に行われた世界選手権(福岡)で、全敗を喫したことだった。痛感させられた世界との差。「今のままでは差が埋まらない」との思いが出発点となった。

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 水球に限らず、男子の団体球技では近年、五輪出場権すら獲得が危うい状況が続く。「チームスポーツはプロを持っている競技だけが予選を突破できる状況。大学スポーツの指導者が国際的視点に乏しい上に、ジュニア世代の強化は依然として学校中心。インカレで勝つよりも国際大会で勝つための状況を作らないと(世界と戦うのは)厳しい」。スポーツプロデューサーの杉山茂氏は現状をこう指摘する。

 水球では目標を10年後のロンドン五輪に置き、国際的視点を協会が作る努力を始めた。メンバー選考も埋もれた人材を発掘すべく全国に散らばる代表経験者から情報を得るとともに、日本水連ホームページにも「体力テスト基準値」を掲載し門戸を広げてもいる。

 こうした取り組みは北京五輪には間に合わない。だが、種をまかなければ、競技力向上は立ち止まったままだ。日本オリンピック委員会(JOC)の福田富昭選手強化本部長は「強化には10年はかかる。16年東京五輪招致に向けた機運盛り上げには北京での活躍は重要。同時に16年に向けた強化を図らねばならない」と訴える理由だ。

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 22日、日本卓球協会は理事会で、来年4月から始まるJOCの選手育成事業「エリートアカデミー」第1期生6人を決定した。女子は現在中学1年の2人、男子は小学6年の4人。同協会では01年秋から、各年代別に代表チームを結成し、強化を図ってきた。今後は来月に開所するナショナルトレーニングセンター(NTC)を拠点に、英才教育の徹底を図る方針だ。近隣の中学校に通いながら、NTCで練習に取り組むというJOCの目玉事業の先陣を担うだけに、想定外の課題も出てくるだろう。だが、同協会の前原正浩強化本部長は「強くなるにはこのシステムの確立しかない」と言い切る。そこには苦い思いがある。

 1952年から79年まで世界選手権で金メダルを獲得してきた日本だが、85年から95年まではメダルさえ獲得できない状況が続いた。原因には88年ソウル五輪から五輪正式競技になり、各国が強化に力を入れた一方で、日本は計画的に指導者養成を図ってこなかったことが挙げられる。

 脆弱(ぜいじゃく)な財政基盤、企業中心の日本型強化モデルの崩壊、急速に進む少子化…。競技力向上を期すスポーツ界には課題が多く横たわる。北京での戦いも厳しい。だが、立ち止まってはいられない。=おわり

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 この連載は金子昌世、橋本謙太郎、森田景史、国府田英之が担当しました。

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