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【やばいぞ日本スポーツ】(4)日本型育成の崩壊
■宣伝にシフト…頼みは国策
史上最多タイの金メダル16個を獲得した日本選手団の活躍に沸いたアテネ五輪。その余韻がまだ残る2005年2月、スウェーデン・オリンピック委員会会長ら4人の一行が福岡市を訪れていた。目的は3年半後に控えた北京五輪の事前合宿地の視察。五輪閉幕からわずか半年で、すでにスウェーデンは次の五輪に向けた一歩を踏み出した。
英国オリンピック委員会も動いた。12年ロンドン五輪で「金メダル獲得順位で世界4位」を目標に描き、戦略を練った。アテネ五輪での英国の金メダル獲得数は9個。4位のオーストラリアは17個で8個の開きがある。サイモン・クレッグ事務局長は「目標達成のために英国が歴史的に強くなかった競技に力を入れている。例えば、テコンドーはその典型例だ」と説明。今年に入ってテコンドーの代表コーチを3人追加するなど強化に力を注ぐ。
「世界は次の次を見据えて動いている。日本も目先を見るだけでなく、長期的な視点が大切。北京を見据えながら、その先のロンドン、さらには16年東京五輪までを考えていかないと…」とは久木留毅・専大准教授。「メダル数を増やすには、種目数が多く、あまり層の厚くないスポーツを強化することが早道ではある。その意味で階級制のスポーツに着眼しているのだろう」と指摘する。
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翻って日本はどうか。日本オリンピック委員会(JOC)では16年に五輪を東京に招致できた際には、金メダル獲得数で「世界3位」に入ることを目標に掲げている。確かに金メダル16個を積み上げたアテネ五輪では世界5位につけた。
だが、世界選手権などの成績からJOCが分析したその後の順位は、05年が14位、06年が10位で、主要競技の世界選手権で惨敗した今年も10位以下が確実。勢いが続かない。
「企業スポーツの栄光と挫折」などの著書がある北海学園大の沢野雅彦教授は「日本のスポーツは底辺が狭く、浅い」と語り、「日本型の選手育成モデルが崩壊しつつある」と指摘する。
つまり1990年代以降、バブル崩壊後の不況とリストラで、企業が実業団スポーツから相次いで撤退。チームや施設を次々に手放していき、地域でスポーツに親しむ環境が減っている。さらに「充実しているとは言い難かった公的施設も民間に委託され、公共性よりも採算が求められる状況」というのだ。
こうした現状から、企業のスポーツ支援が、選手を正社員として雇い、長期的に育てるいわば「育成型」から、必要な間だけ契約する「宣伝型」になったという指摘だ。スポーツプロデューサーの杉山茂氏は「競技に専念できる環境が若手に注がれていない。既成の選手にいろんな条件が整えられ、新鋭やジュニアとの環境の格差が出ている」と見る。
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現に今季の世界選手権ではベテラン勢に救われた。大阪で開催された陸上は31歳の土佐礼子が大会最終日に日本勢唯一の銅メダルを獲得。柔道はママになった32歳の谷亮子が五輪種目で唯一の金メダルを獲得した。しかし、その後が続かない現状では北京五輪後の世代の空洞化の懸念もある。
11月、自民党のスポーツ立国調査会に招かれたJOCの竹田恒和会長らは「国際競技力の向上は国策で」と訴えた。長く日本のスポーツ強化を支えてきた、企業による「育成モデル」が崩壊しつつある現在、財政基盤の弱いJOCや競技団体では、長期的な視点に立った施策はもちろん、北京五輪に向けた強化も十分ではないからだ。
「小さい子供が自然とスポーツにかかわれる環境が必要。国がスポーツに力を入れる企業に税制優遇するなど、もっとスポーツに力を注ぐべきだ」。沢野教授はこう訴える。