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【産経抄】12月20日
このニュースのトピックス:産経抄
曽野綾子さんが、1975年に初めて中東諸国を訪れたとき、「アラブのIBM」という言葉を教わった。Iは「インシァラー」(神の思(おぼ)し召しがあれば)、Bは「ブクラ」(明日)、Mは「マレシ」(過ぎたことは仕方がない)の略だという(『アラブの格言』新潮新書)。
▼たとえば、アラブ世界でビジネスの交渉をしていると、しばしば「インシァラー」とはぐらかされたり、「ブクラ」と先延ばしをはかられ、仕事が不調に終わっても、「マレシ」ですまされてしまう。アジアのハンドボール界でも、「IBM」がまかり通ってきた。
▼クウェートの王族が会長を務めるアジア連盟のもとでは、10年ほど前から、中東有利の審判の判定が続いてきた。いわゆる「中東の笛」に対して、日本側はこれまで再三抗議してきたが、改善はみられなかった。
▼厳しい自然を生き抜いてきたアラブ人の知恵を探ろうと、曽野さんが集めた格言にはこんなものもある。「もしも罪を犯したら、隠せ」「あなたには名誉を。私には利益を」。これらは、北京五輪アジア予選でも、存分に生かされた。
▼不公平な判定だけでなく、女子ではカメラ、ビデオの撮影を禁止して記録を残さなかった。その結果、日本にフェアプレーの名誉を与えて、クウェートとカザフスタンが五輪出場を果たす。ただ段取り通りにはいかなかった。今回ばかりは日本と韓国の共闘が実現し、連盟の分割も辞さず、との強硬姿勢が功を奏したからだ。
▼国際ハンドボール連盟から引き出した、予選のやり直しは、異例の決定だ。「無理が通れば道理引っ込む」。こんな日本の格言を真に受けて、泣き寝入りしなくて本当によかった。今後の外交にも、大きな教訓になったのではないか。