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【産経抄】12月7日

2007.12.7 02:55
このニュースのトピックスラグビー

 平成10年1月、関東学院大学ラグビー部は初めて大学選手権の決勝に進んだ。国立競技場は、試合前日からの雪に覆われている。春口廣(ひろし)監督は、補欠の4年生を隊長に命じて、レギュラーメンバー以外の部員全員に雪かきをさせた。

 ▼相手の明治の学生が来なかったことを知り、勝利を確信する。「相手はグラウンドに出ている15人だが、こちらは140人の部員全員で戦うことができる」。今年9月にNHK放映の「人生の歩き方」に出演した春口さんが、語っていた。

 ▼大学は、早稲田、明治、慶応など伝統校の輝きとは無縁だった。それどころか、監督に就任したとき、部員はわずか8人、グラウンドにはゴールポストもなかった。身長156センチの春口さんは、高校時代、野球を断念して、ラグビーに転向したものの無名の選手だった。日本体育大学では、しごきに耐えかねて脱走したこともある。

 ▼自らのラグビー人生とチームの両方を「雑草」と呼ぶ。監督就任34年目の今年1月、雑草軍団は、6度目の大学日本一を果たした。今や名将の称号が定着した本人は、あくまで先生であることにこだわる。勝負に勝つより、いい「雪かき隊長」が出てきてほしい、という。

 ▼見事花を咲かせた雑草たちに何が起こったのか。たばこさえ、絶対禁止のはずの部員2人が、大麻取締法違反の現行犯で先月逮捕された。さらに部員12人の吸引が発覚する。「最も好きなラグビーを裏切った」。

 ▼監督を辞任した春口さんが、5日、狭心症で入院中の病院で行った会見は悲愴(ひそう)だった。責任の重さを誰よりも感じている春口さんは、今も問い続けているに違いない。「なぜ、おれに言わなかった。なぜ、誰も止めなかった。仲間じゃないのか」と。

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