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五輪女王、連覇へ一歩 さえたレース勘
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日差しが降り注ぎ、気温が20度を超えようが、4メートル余りの向かい風に悩まされても、野口には周りが見えていた。ライバルの息づかいや腕の振りを冷静に観察。29キロ過ぎには渋井の影が離れたことを確認してペースアップし、難所とされる上り坂に入った36・5キロ付近では「『ここだ。前に出ろ』とひらめいた」というスパートで、一気にコスゲイを振り切った。
2年2カ月ぶりのマラソンとは思えないレース勘。上りが続く35キロからの5キロを16分台で押し切る力強さはまさに圧巻だ。レース中、頭をよぎったのは月間1200キロも走り込んだサンモリッツでの合宿。「自分にしかできない練習をしてきたので大丈夫。自分を信じて走った」という。
競技場に戻り、最終コーナーを超えて白い歯がのぞいた。昨年のベルリン、今年4月のロンドンを故障で欠場した鬱憤(うっぷん)を晴らすように、ガッツポーズでゴール。北京五輪代表の座を不動にし、「今まで以上の練習をして(五輪)連覇を目標にしていきます」。笑顔が弾けた。
「以前は馬力だけで跳ぶように走っていたが、いまは柔らかくてスムーズ」と藤田監督。故障を糧に弱かった左足内転筋を強化し、左右のバランスをよくした結果だ。「練習を通して以前よりも新しい自分になれていると感じる」と野口。心身ともに充実のときを迎えた29歳が、北京への第一歩を踏み出した。(金子昌世)