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「幻の五輪メンバー」がモスクワへ 山下氏らモスクワ五輪柔道代表
日本がボイコットした1980年のモスクワ五輪に派遣されるはずだった男子柔道の元日本代表選手が10日、モスクワへ出発。現地で当時の旧ソ連代表選手らと交流し、「柔道を通じた平和」をテーマにシンポジウムも開く予定。日本側の参加者は「五輪出場という夢は果たせなかったが、柔道による日露の親交に一役買いたい」とし、28年の歳月を経た“幻の五輪”の実現に期待を膨らませている。(森田景史)
訪露メンバーは84年ロサンゼルス五輪金メダリストの山下泰裕・東海大教授(50)ら6人で、当時は「幻の五輪代表」とも呼ばれた。
昨秋、元代表の1人で元65キロ級世界王者の柏崎克彦・国際武道大教授(56)が「行き損なったモスクワで、柔道をやりたい」と当時の代表選手に呼び掛けたのが発端。また昨年12月に、プーチン大統領の師範で、ロシア柔道連盟副会長のアナトリイ・ソロモノヴィチ・ラフリン氏が来日。その際、親交のある山下氏に「教育面、精神面を重視した日本式の柔道を、ロシアで教えてほしい」と要請した。快諾した山下氏は、自身が理事長を務めるNPO法人「柔道教育ソリダリティー」を通して取り組みを後援。訪露が実現した。
11、12日にモスクワで国際柔道セミナーを開き、各自の得意技を披露する。ロシア柔道連盟はその様子を収録し、ロシア国内の教材用DVDとして配布するという。12日には山下、ラフリン両氏をパネリストに、ロシア国内の柔道指導者を集めてシンポジウムを開催。「柔道を通じた平和」をテーマに、柔道が持つ教育的な価値や、柔道の普及が世界平和にどう貢献できるかなど、意見を交換する。
また、ロサンゼルス五輪をボイコットした旧ソ連の「幻の五輪代表」とも夕食会で交流。畳の上でしのぎを削った元ライバルたちと旧交を温めるほか、モスクワ五輪の柔道会場となったルジニキ・スポーツ宮殿を訪れる予定もある。
発起人の柏崎氏はモスクワ五輪の翌年、世界選手権で金メダルを獲得。「みんな努力したし、ボイコットで人生がダメになった選手はいない。“幻の金メダリスト”という自負を持って、柔道の教育的な価値を訴えたい」。山下氏は「柔道という切り口で日本の心を伝えたい。元選手としても、かつてのライバルと友情を深めたい」と訪露を心待ちにしている。