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ライバルを倒して7連覇 柔道全日本女王の塚田
心を揺さぶるシーンだった。畳の中央で、戦い終えた2人が長い抱擁。ほおをぬらした塚田は「これが最後かと思ったらグッと来た」。引退を決めて臨んだ薪谷も涙の理由は同じ。そこには勝者と敗者の境界も「北京」を巡る悲喜もない。
畳の上では宿敵、私生活では無二の親友。両者の関係は複雑だが、塚田の胸中は透徹していた。「先輩に全力で向かうだけ」と、けんか腰で奥えりを引き寄せ、力任せに大技を浴びせた。けり上げるような薪谷の足技も正面から受け止めた。「どっちが勝っているか、分からないくらい夢中」と存分に暴れた5分間。3−0と明暗が分かれた判定はともかく、出色の乱戦だった。
今の塚田には太い軸の存在を感じる。アテネ五輪後の4年間は、大会初優勝時の写真を何度も見た。「がむしゃらで、勝つことがうれしくて、笑っている自分がいた。この気持ちを忘れちゃいけない」。勝利への渇望を保つのに腐心した歳月だった。強豪の中国選手を倒さず手にしたアテネの金は「ラッキーでした」(塚田)。北京は、そんなわだかまりを返上する場でもある。
試合後の会見で、塚田は薪谷との思い出話にしんみり。「いろんな人の思いを背負った代表。それをかみしめて北京に行きたい」とまた涙。情にもろいのは相変わらずだが、今の塚田は4年前より間違いなく強い。(森田景史)


