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慢心野村、「金メダリストの柔道ではない」
準決勝の残り1分20秒、相手の背中に乗った野村の体は緩やかな円軌道で1回転。顔をゆがめて起き上がったときには、相手方に「技あり」の表示がともっていた。
全日本男子の斉藤監督は「五輪で金を取った選手とは思えない」とつぶやいた。相手の鼻息をうかがう守勢、急所に届かない弱腰の攻め。金メダリストの威光を損なう柔道だった。
渋い表情の野村は、らしからぬ言葉で敗因をつむぐ。「オレが代表になるやろ。普通にやれば勝てるやろ、と」。慢心がたたっての敗戦。「勝負師として持ってはいけない感情」と繕っても、取り返しはつかない。五輪4連覇という偉業への挑戦は、スタート地点で柱石を欠いていた。「勝ち取るという、挑戦者という気持ちが…」
33歳。肉体の衰えは隠せない。練習では靱帯(じんたい)を断裂した右ひざの状態を気にしながら行った。個人契約のトレーナーを置き、円滑な動きができるテーピング法を数カ月がかりで見つけた。しかし「希望通りの調整じゃなかった。運任せの部分も多い」と打ち明ける。
猛追する平岡に優勝をさらわれ、代表権も危うい。「北京では、今回の課題をクリアできれば勝負できると思う。そのチャンスがあるかどうか」。これがラストマッチになる可能性さえ否定できない。(森田景史)






