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朝青龍、破顔一笑「毎度、おおきに」 意地ほとばしる
鬼の目にも涙…か。朝青龍が4場所ぶりに賜杯を抱く直前、あふれ出る涙を太い腕でぬぐった。その後の館内向けのインタビューでは破顔一笑。「大阪が好きやで。ほんまに好きやで。毎度、おおきに」と大阪弁で浪速っ子を沸かせた。
“仮病疑惑”による2場所の出場停止で失っていたスピードと相撲勘が戻った。立ち合いで左四つに持ち込み、白鵬が前に出てきたところを土俵際に右からの小手投げ。192センチ、155キロを土俵下まで投げ飛ばすと、左の拳を握り締めた。
時代が移りつつあるのを感じ取っていた。昨年春場所から先場所までの優勝は白鵬の5回に対し1回。「白鵬には負けたくない。悔しさを返さないといけなかった」。負けん気が生命線である横綱の意地がほとばしり、“平成の大横綱”貴乃花に並ぶ通算22回目の優勝を成し遂げた。
心技体のうち、技と体は復活した。あとは心が問われる。昨年に引き起こした数々の騒動は記憶に新しい。週刊誌に八百長疑惑の首謀者と報じられ、夏巡業の休場を申し出ながらサッカーに興じた不祥事で出場停止と謹慎の処分を受けた。CM出演料の申告漏れも発覚し、横綱の権威をおとしめるとともに角界の信頼も失墜させた。
22回以上の優勝を飾った大鵬、千代の富士、北の湖、貴乃花は、いずれも大横綱の証しとして顕彰される「一代年寄」(現役名で親方になる権利)の栄誉に浴している(千代の富士は辞退)。朝青龍は全盛期にあり引退にはほど遠く、年寄名跡の取得条件である日本国籍もないため一代年寄の話題は時期尚早だが、日本相撲協会内にその論議は浮上していない。
これも、横綱審議委員会などから「品格のなさ」を指摘されるがゆえ。だが、まだ27歳。優勝回数を重ねるだけでなく、心を充実させるのも不可能ではない。「横綱の地位を守るために精いっぱいやってきた」。未来の自分への叱咤(しった)でもあると信じたい。(奥山次郎)



