ニュース: スポーツ RSS feed
【スポーツコラム】角界クーデターとなるのか
「クーデター相撲協会 北の湖孤立」。7日付サンケイスポーツの1面で角界の内幕を暴露する見出しが躍った。力士死亡事件にからみ、傷害致死罪で起訴された時津風部屋の3力士の処分を決める緊急理事会。北の湖理事長は解雇を主張したが、裁判の結果を待つべきだとする他の理事に屈した。理事長は事前協議でも一部理事に同意を求めたものの、否定されていた。
クーデターはフランス語で「国に一撃を与える」という意味がある。大辞泉によると「支配階級内部での権力移動であり、体制そのものの変革を目的とする革命と区別する」。犬養毅首相が暗殺された五・一五事件などがあるが、国技のトップへの反乱も、権力移動を狙った一撃とも受け取れる。
一連の朝青龍問題でも露呈した危機管理能力に欠ける理事長に、協会内では不満が膨らみつつあった。しきたりを重んじる角界では、改革という言葉に鈍感。ところが、世間の目が許さない。時津風事件を社会問題であるいじめと関連して糾弾された。それでも、理事長は重い腰を上げない。しびれを切らした理事らは処分決定で理事長案を退けるという形で反旗を翻した。
ただ、対抗勢力の真意がどこにあるのか、理解しにくい。「師弟間での事実関係がはっきりするまで処分せず」とした先延ばし決定は、世間からの反感を買いかねない。師匠に逆らえなかった弟子への同情とする理由も、厳しい師弟関係で成り立つ相撲部屋の師匠が心底抱く感情とは思いづらい。「角界に対する批判が強くなり、本当は自分たちの立場を守ることで必死なんだ」という声もあり、保身のためのポーズといった見方もできる。
昭和49年、武蔵川から春日野(元横綱栃錦)に理事長が移るさい、「協会内は主流、反主流の二派に分かれていた」(栃錦・春日野自伝より)。改革を訴える反対勢力の抵抗を抑えたのは48歳の春日野の手腕。反主流とひざをつきあわせて話し合った結果だった。理事長就任後は派閥解消を目指し、適材適所で協会を活気づかせた。
果たして今回、北の湖理事長に抗する勢力にどれほどの活力があるのか。もっとも、理事長が危機感を抱いているのかも疑問。“角界クーデター”は単に外部の喧噪にすぎないのかもしれない。(運動部次長 小田島光)