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【主張】朝青龍謝罪 相撲協会も土俵際にいる
2場所謹慎処分を受けていた大相撲の横綱朝青龍が時折、苛(いら)立った表情を浮かべながらも謝罪した。
「相撲が大好きだから、もう一度最初からやり直す気持ちになった」
ひとまずこの言葉を信じよう。真価を問われるのは、第一に土俵の上だ。稽古(けいこ)に精進してほしい。
それにしても奇妙な会見だった。謝罪する横綱に同席したのは師匠の高砂親方だけだった。この日、日本相撲協会の最高責任者、北の湖理事長は地方に出張していた。横綱の謝罪会見より重要な仕事があるのだろうか。
トラブルが起きたら、その組織のトップが矢面に立つ時代なのに、相撲協会は時間が止まっているようだ。
今年の大相撲は朝青龍騒動のほか、八百長、時津風部屋の17歳力士急死問題と不祥事が続き、日本相撲協会への風当たりは強い。終わったばかりの九州場所15日間の観客動員は7万8871人にとどまり、前年比3598人減と、ファン離れが進んでいる。
また、公益法人の制度改革で認定基準が厳しくなっているときだけに、協会の監督官庁である文部科学省に対し、民主党から法人許可取り消しを求める質問主意書が提出されていたが、文科省は11月末、「取り消しはせず、税制上の優遇措置も変更しない」と現状維持の方針を決めた。
協会は胸をなでおろしているかもしれないが、北の湖理事長をはじめ幹部や力士たちは、土俵際に追い詰められ、足が俵にかかっている、という危機意識を持たねばならない。
力士急死問題のときにも猛省を促したが、協会は閉鎖的な体質を改め、外部の意見に耳を傾けてほしい。初場所後に理事長選が予定されている。責任感があり、強力なリーダーシップを持つ新理事長の誕生が待たれる。
ドイツ文学者で横綱審議委員会の委員長を務めた高橋義孝氏は次のような言葉を残している。
「土俵を見つめているわれわれの眼は、ただ単にわれわれの眼であるばかりでなく、かつて相撲を味わい楽しんだ遠い祖先の人々すべての眼でもあるのである」
この好角家のように、ゆったりと観戦できるときが再び来ることを願うばかりだ。