ニュース: スポーツ RSS feed
【明解要解】着実に定着「育成選手」制度 球団、新戦力発掘に積極利用
日本プロ野球組織(NPB)が「球界の底辺拡大」を狙った育成選手制度を導入して3年目を迎えた。育成ドラフトを通じて、1軍への道が開ける支配下選手に昇格したのは昨年までに6人(外国人選手や支配下登録経験者を除く)。今年も巨人の隠善(いんぜん)智也外野手(23)がオープン戦での活躍が評価され、開幕ベンチ入りを果たした。底辺拡大は着実に進んでいる。(運動部 田中充)
3月30日のヤクルト戦。九回に代打で登場した隠善は、プロ初打席初安打となる左中間二塁打を放った。2007年に広島国際学院大から入団。昨季は2軍で42試合に出場したが、支配下選手の声はかからなかった。「昨年の悔しさがあったから、今年がある」。春先から走攻守にスピード感あふれるプレーでアピール。原監督から「かなり上の順番で必要な戦力」と評価された。
同制度は支配下選手65人以上を保有する球団が通常のドラフト会議後に行う育成ドラフトを通じて獲得できる。選手の待遇は支度金300万円、最低年俸240万円。毎年6月まで支配下選手に契約変更が可能で、在籍3年間で支配下登録されなければ、自動的に自由契約選手になる。
巨人では昨春のキャンプ後、隠善と同期の松本哲也外野手(23)が支配下に入ったほか、06年入団の山口鉄也投手(24)もシーズン途中に契約。昨年、育成選手出身者として初勝利を挙げるなど32試合に登板した。
育成選手は西武と日本ハムを除く10球団が計33人を獲得し、最多は巨人の11人。他球団との合同チーム「フューチャーズ」でイースタンの2軍と練習試合を組み、課題とされた出場機会の増加にも努めている。
球団には70人までの支配下選手よりも多くの人材を確保し、新戦力を発掘したい思惑がある。将来的には3軍を持ちたいという清武英利球団代表は「社会人野球が衰退する現在、通常のドラフトでこぼれた選手の受け皿が必要。選手の可能性を伸ばす大きな柱の制度」と意義を強調する。
当初は否定的だった阪神も今年初めて立正大から田中慎太朗内野手(22)を獲得。沼沢正二球団本部長は「今後の成長に期待できる選手を獲得できるいい制度」と、方針転換の理由を明かす。
トップ選手の大リーグ流出に歯止めがかからない中、埋もれている逸材を発掘することの意義は大きい。国内では、四国や北信越にプロの独立リーグが誕生しており、実戦経験を積ませるために育成選手の派遣などで連携していくことも、今後の策の一つかもしれない。