今年の個人消費「二極化」と「メリハリ」がカギ 家計収入減で環境厳しく
2012.1.25 18:03更新
小売りや外食産業など、個人消費の昨年1年間の売上高速報が25日までに出そろった。東日本大震災後に消費マインドが大きく変化。「絆」需要で高額品が堅調な半面、低価格の牛丼チェーンに人気が集まり、コンビニエンスストアが総菜などの「中食」需要を取り込み急成長中と、メリハリをつけた「消費の二極化」が進んでいる。ただ今年は子ども手当の給付減などで、家計分野の所得が1兆円以上も減るとの試算があり、消費環境は厳しくなりそうだ。
百貨店は伸び率が15年連続の前年割れ。そごう八王子店が1月31日に閉店するなど、地方店の不振が続くためだが、被災地の消費は依然、堅調で高額消費も底堅い。駅ビルなどに小型店を出す三越伊勢丹ホールディングスのような新機軸が起死回生のカギとなる。
スーパーも15年連続の前年割れ。放射性セシウムの検出の影響で畜産品など食料品が低調、ファストファッションとの競合が激しい衣料品も振るわない。人口減で成長が見込めない中、イオンなどは人口の多い都市部中心に、食料品に特化した「ミニスーパー」の展開を急ぐ。
コンビニは「近くて便利」が改めて見直され、総菜や生鮮品を買い求める女性や高齢者の利用が増加。大手3社は今年、前年比3割増の新規出店を計画するが、品ぞろえや価格面で優位にあるミニスーパーとの競合が激化しそうだ。
震災後に自宅で食事をする人が増えたことで、2年ぶりに前年割れとなった外食産業だが、長引くデフレを背景に牛丼などの低価格業態は堅調。「中食」需要を取り込んだコンビニとの競合も進みそうだ。
震災後の消費について日本総研の小方尚子主任研究員は「自粛ムードで落ち込んだ分、『ハレ』の部分は思い切り使うが、そうでないものはそれなりに、と価値あるものに見合った金額を支払う『メリハリ』をつけた傾向が強まった」と分析する。
ただ日本総研の試算では今年、家計の収入は前年比で1兆3千億円減少する。子ども手当の縮小や年金保険料の引き上げのためで、小方研究員は「個人消費には厳しい環境が続く」と予測している。(藤沢志穂子)