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【秋山仁のこんなところにも数学が!】(56)ドーナツと宇宙の不思議な関係
2点からの長さの和が一定になる点を順次につないでいくと、楕円(だえん)になることはよく知られています。これを確かめるには、その2点にくぎを打ち、与えられた長さの糸の両端をそれらに結んで、鉛筆の先で糸をピンと張りながら曲線を描いてみれば分かります=図1。
では、2点からの長さの積が一定になる点を順次につないでいくと、どんな曲線になるでしょうか。簡単にするために、2点からの長さの積をL×Lとし、2点間の長さを2Lとした場合を考えてみましょう。この寸法にしたのは、2点からの中点がその条件を満たすため、数学的にも大切な曲線が得られるからです。
この曲線を求めるには、意外にもドーナツや浮袋の形が関係します。図2のように、ドーナツを端から中央に向かって垂直に切り下していくと、その断面の形はどう変化するでしょうか。最初のうちは1つの輪ですが、途中からは2つの輪に分かれます。1つの輪から2つの輪に分かれる境目は、どんな形でしょうか? 実際にドーナツを切ってみると、「8の字」型曲線が現れます。実はドーナツの寸法をうまく測ると、この「8の字」型曲線は、2点からの長さの積がL×Lになる点を順次につないだもので、数学では「レムニスケート」と呼ばれています(図2の赤線部)。
実はこのレムニスケートは、天体運動に関係しています。ご存じのように、宇宙にある天体は万有引力の法則にしたがって運動しています。このため、地球と月のように、たった2個の天体のときは、一方が他方を周回するか、両方が絡み合うように周回するかのどちらかです。では、3個のときはどうなるのかというと、条件次第で非常に難しい問題になります。ところが、ある条件を与えると、3個の天体がぴたりとレムニスケート上に載りながら、互いに周回することが知られています。天体の運動がドーナツの切り口の形に関係しているとは驚きです。(東海大教育開発研究所長)
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