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【産経抄】1月4日
この稿に取りかかったころ、産経新聞社のある東京の大手町は人の波であふれていた。箱根駅伝のゴール地点だからだ。このところ「ハコネ」の人気は尋常でない。テレビ中継のおかげで、駅伝のドラマが茶の間まで刻一刻伝わってくるからだろう。
▼だが古いハコネファンに言わせてもらえれば、ラジオの時代の方がもっと楽しかった気がする。見えない分、想像力をかきたててくれたからだ。子供のころ「箱根の山登りにさしかかりました」と聞くと、選手たちがロッククライミングを始めるのかと思ったものだ。
▼見える見えないで言えば、今年はガリレオが肉眼の10倍見える望遠鏡で宇宙観測を始めて400年にあたるという。その後、月のクレーターを見つけたり地動説を裏づける発見をしたりと、天文学への貢献は大きかった。だから今年は「世界天文年」なのだそうだ。
▼400年後の今、ハワイ島に設置された国立天文台の望遠鏡「すばる」は、東京から富士山頂のボールを見分けられる精度だという。人類は今や宇宙の隅々の天体まで見ることのできる「目」を得た。宇宙の成り立ちを知るのに果たした役割の大きさは計り知れない。
▼一方で、あまりに精巧な「目」を持ったために、想像力が希薄になったのではと気になる。太陽神への信仰や織女・牽牛(けんぎゅう)の七夕伝説など大型望遠鏡の時代には決して生まれなかった。遠い宇宙へ思いをめぐらすことが、生活に豊かさを与えていったのだ。
▼もっとも現代の天文学にも想像力は必要なようだ。例えば宇宙人(地球外知的生命)探しでも、宇宙人がどんな星にいてどう考えるのか想像できなくては見つけようがない。幸いといえばおかしいが、人類が見ることのできない世界はまだ多い。
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