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【特報 追う】JAPANブランド(上)イタリア式で「山形工房」
■“伝統と哲学”評価、パリ見本市に3年連続出展
中小企業の「ものづくり」の伝統や技術を生かし、新たな地域ブランドの確立を目指す「JAPANブランド育成支援事業」。東北では今年度、山形県の山形商工会議所の「カロッツェリア型ものづくり」事業が「先進的ブランド展開」として採択された。“カロッツェリア事業”は4年前にスタート。イタリア型の生産方式を取り入れたものづくりで、その製品は海外で高い評価を受け、国内でも売り上げを伸ばしている。(石崎慶一)
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フランス・パリで開催される世界最高レベルのインテリア国際見本市「メゾン・エ・オブジェ」。この中でもトップレベルの製品が並ぶ「インテリアシーン」のコーナーに、3年連続で出展、高い評価を得ている日本のブランドがある。「山形工房」だ。
今年は1月25〜29日、山形工房ブースに日本の「折り紙」をモチーフにした木工のイス、雪国の「かまくら」からもれる明かりをイメージした鋳物のポット保温器具、風に揺れる「稲穂」をイメージした繊維製品などが出展され、好評を博した。
山形工房の製品開発を行っているのは「山形カロッツェリア研究会」。「カロッツェリア」とはイタリア語で「車のボディー工房」のことで、素材調達からデザイン開発、製造、組み立て、販売まで、地域一体で行うイタリア型の生産方式を指す。
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同研究会は、山形市出身で、イタリアの高級車フェラーリのデザインなどを手がけた世界的工業デザイナー、奥山清行さんが代表となり、平成15年に設立された。鋳物、木工、繊維など山形の伝統産業の技術に奥山さんの現代的なデザイン、イタリア式ものづくりの手法を取り入れ、世界に通用する商品の開発に取り組んでいる。
「イタリアと日本の職人の技術は変わらない。なのにイタリアは世界ブランドになれて、日本の山形はなれないのか」
出身地の産業振興策を探ろうと、山形のものづくりの現場を見て回った奥山さんは、自身が経験しているイタリアと比較し、こうした疑問を抱いた。
そこから、イタリアの生産方式を採用した「研究会」が発足、山形を世界ブランドにするプロジェクトが始まった。時を同じくして、山形商工会議所が国のJAPANブランド育成支援事業を活用する方針を決め、研究会はタイアップしてプロジェクトを進めることになった。
16年度から事業をスタート。海外で高い評価を得て国内で販売促進を図る“黒船効果”を狙い「世界で最も厳しいステージで製品を発表する」ことにした。1年かけて調査し、発表の場を「メゾン・エ・オブジェ」に照準。その中でも最も審査の厳しい「インテリアシーン」への出展を目指すことにした。
研究会事務統括で鋳物に携わる菊地規泰さん(49)は「サッカーのワールドカップに初出場で決勝進出するようなものだった」と振り返る。だが、18年1月、初出展では難しいとみられた審査をパスし、「シーン」出展を果たした。
主催者からは「歴史と伝統の中に自分たちの哲学を盛り込み、みごとに表現している」と称賛された。同年11月、山形を訪問した主催者の幹部は「東京や京都とは違うよさがある」と評し、独自の“哲学”を持った作品が生み出された理由を納得したという。
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3年連続の「シーン」出展で、商談では引き合いの製品の幅が広がり、見積依頼件数も増えている。菊地さんは「連続出展でバイヤーの信頼を得ることができ、良質な新しいバイヤーとの商機も出てきた」と手応えを感じている。ネット販売も増え、研究会が開発した製品の売り上げは累計約3億円に上る。
奥山さんが考える「地方産業の再生」は「最終的には、山形工房のブランドを生かしながら、各企業が自立しモノが売れるようになること」。
研究会のメンバーは当初の3社から7社に増え、ゼロだった関連企業は60社以上になった。「プロジェクトの活動によって裾野が広がったのが大きな成果」と菊地さん。すでに各社は来年の「シーン」出展に向けてそれぞれ準備を進めている。
菊地さんは「今後も消費者の感動を大事にするものづくりに取り組んでいきたい」と決意を新たにしている。
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■JAPANブランド育成支援事業 中小企業庁が全国の商工会議所、商工会を対象に実施。平成16年度に始まった。地域の技術を生かして海外に通用する製品を新たに作り販売していくプロジェクトを支援する。ブランドコンセプトを検討する戦略策定支援、1〜3年目の製品開発、展示会出展などブランド確立支援、先進的ブランド展開支援がある。今年度は全国で59件を採択した。