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【特報 追う】鶴岡からEVの風起こせ
ガソリン代は高騰を続け、CO2排出量削減への機運は高まるばかり。自動車を取り巻く状況は日ごとに厳しさを増している。そんななか山形県鶴岡市に、電気自動車(EV)の販売に乗り出す会社が登場した。仙台市内のガソリンスタンドではCO2排出量が少ない「バイオガソリン」の販売も始まった。クルマの“脱化石燃料”の動きが、東北地方でも身近になってきている。(松本健吾)
山形県鶴岡市のEV安全協会山形支部が今月、家庭用の100Vコンセントから充電できる電気自動車「ジラソーレ」と「コムス」の2車種の販売を始めた。保険代理業「尾形サービス商会」の尾形昌彦社長(43)と、真空装置製造業「秋山鉄工」の秋山周三社長(58)が、環境問題への取り組みと、新たなビジネスチャンスへの期待から、同支部を結成。両社長は「鶴岡からEVの風を起こす」と意気込む。
EVは、バッテリーに充電した電気のみをエネルギーに走行する。エンジンの代わりにモーターで駆動するため、排出ガスはゼロ。走行音が静かなのも環境に優しい。
ジラソーレ。丸みを帯びたデザインの車体は、上部が総ガラス張りで解放感たっぷり。燃費を節約するためエアコンやカーステレオなど、走行に不要なものは付いていない。
キーをひねって“電源”をオンにすると、フロントパネルの表示灯類が点灯。エンジンがかかる時のような振動や音はない。シフトレバーもなく、ドライブ(前進)、リア(後進)、ニュートラルも、スイッチで切り替える。ドライブに合わせ、右足のアクセルを踏み込むと、車は音もなく滑らかに加速した。
「燃費は1キロメートル当たり2円。維持費を計算すると、軽自動車に比べて、月あたり2万5000円程度安い」と秋山社長。ガソリン車に比べ維持費が安いのは魅力だ。
狙い通り、EVの問い合わせは各方面からあり、興味を持っている人が少なからずいることが分かる。だが、同支部での購入者はまだゼロ。電動車両普及センター(東京)によると、EVの全国での普及台数も、平成19年3月末時点で約9400台にとどまっている。課題は▽4〜12時間かかる充電時間▽充電“満タン”での走行距離▽車両の価格−とみられている。
「100万円あれば軽自動車が買える時代。国からの補助を得ても2人乗りのEVで200万円近くする価格は、どうしても高値感がある」と尾形社長。「現時点では、メーンのガソリン車のサブとして購入するのを勧めたい」と考えている。
しかしこれらの課題は近い将来解決すると予想されている。EV用電池の開発競争は熾(し)烈(れつ)で、技術や量産体制の飛躍的な進歩が見込まれるからだ。
今月19日には、日産自動車とNECが共同で、3年間に134億円を投資して、電気自動車などに使用するリチウムイオン電池の量産に乗り出すと発表。トヨタ自動車や三菱自動車など大手自動車メーカーも電池分野の開発に力を注いでいる。
秋山社長は「ガソリン価格は下がらなくても、電池の性能は良くなっていく。EVブームに火がつく日は近い」とビジネスチャンスとにらんでいる。
一方、仙台市では21日、「石油連盟」(東京)が、東北で初めてとなる「バイオガソリン」の販売を仙台市内のガソリンスタンド3店で始めた。
バイオガソリンはトウモロコシなどの植物から精製するバイオエタノールを混ぜた燃料。ガソリンとまったく同じように給油するだけで既存のガソリン車に使うことができる。バイオエタノールになる植物が生育する過程でCO2を削減するため、ガソリン使用時のCO2排出が相殺されるメリットがある。
燃料の原料に使われるのはトウモロコシやサトウキビなどで「食糧事情と競合する」という課題はあるが、バイオ燃料が徐々に普及していくことは間違いなさそうだ。
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■「ジラソーレ(GIRASOLE)」(オートイーブィジャパン)。2人乗り(2ドア)。最高速度時速65km。5〜6時間の満充電で約120km走行できる。トランクは350リットル。車体価格は、税込み約260万円で、補助金交付額の上限は77万円。軽自動車扱い。
■「コムス(COMS)」(トヨタ車体)。1人乗り。最高速度時速50km。8時間の満充電で35km程度走行可能。同支部で扱っているのは後部トランクが大きい「デリバリータイプ」で、車体価格は税込み約87万円。7万円を上限に補助金が交付される。原動機付自転車(4輪)扱いで、運転には普通免許が必要。