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【特報 追う】杜の都に忍び寄る不況 駅前開発にも木枯らし
■塩漬け物件、空きビル…
不況の気配が、杜の都にも忍び寄ってきた。仙台を象徴するアーケード街にはシャッターを下ろした店舗も目立ちはじめ、地価の急騰を牽引(けんいん)した外資系を含む不動産ファンド勢も姿を消した。注目された駅前一等地の再開発案件も、青写真を描けぬままだ。仙台の不動産市況に暗雲がたれ込める。(高山豊司)
「ビル売却の商談が進んでいた矢先、買い手が手付金を放棄して姿をくらませてしまった」−。仙台駅にほど近い大型アーケードで、昨年末からそうした経緯で「塩漬け」となった物件が増えているという。米低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)問題をきっかけとした混乱は、まず外資系ファンド勢を直撃した。「仙台にも相当数乗り込んでいた」(市内不動産業者)ファンド勢は影を潜めた。その後、深刻化した金融不安で、銀行は不動産会社への資金供給を絞り込んだ。
不動産不況が深刻化したのは、金融不安ばかりが原因ではない。不動産調査会社の三鬼商事は「仙台エリアの不動産は、供給過剰が著しい」と指摘する。例えばオフィス。仙台エリアの新築ビル(オフィス)の空室率は6月末で54%、10月末でも43%と、ほぼ半分が空いている状態。既存ビルも含めた平均で12%の空室率は、東京の4・3%は別としても、10%前後で推移する札幌や福岡エリアと比べても高い。
商業施設も、この8月、仙台駅前にファッションビルの「パルコ」が進出。既存の雑貨チェーン「ロフト」、アーケード街などと客の取り合いが激化している。とりわけ、アーケード街は「駅前の商業ビルで客足が止まってしまう」(店舗経営者)など影響は深刻で、「相場よりも高く設定されていたアーケード内店舗の賃貸料も引き下げざるをえない」(三鬼商事)との見方もでている。
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さらに深刻なのはホテル業界。駅周辺の狭いエリアに高級ホテルだけでも仙台国際ホテル、ホテルメトロポリタン仙台などが林立。森トラストが開発中の大規模ビル「仙台トラストシティ」には、22年に米ウェスティンホテルを誘致する計画が進行中で、競争は激しくなるばかりだ。そうした中、再開発の動向が注目されるのが、仙台駅前の老舗高級ホテル「仙台ホテル」だ。
昨年4月、仙台ホテルを所有するアールアンドジェイ仙台を、オリックス不動産(東京・港区)が買収。さらに同11月には、同ホテルに隣接する「GSビル」もオリックス不動産が買収したと報じられた。仙台ホテルとGSビルを合わせた広大な敷地の再開発は、各方面から注目されていた。「仙台ホテルは平成20年末に休業し、再開発に着手するらしい」といったうわさもまことしやかに流れていた。
ところが、当の仙台ホテルでは、年内休止のうわさについて「そんな話はない」と否定。「3月には解体に着手するはず」と断言する関係者もいるのだが、オリックス不動産は「営業休止や解体の予定はない」(広報部)という。今後の再開発の計画も不明だ。
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計画のネックとみられるのが、GSビルの存在だ。GSビルは、複雑な形状の仙台ホテルに食い込むように立地、「ホテルと一体開発しなければ経済価値は低下する」(不動産関係者)。しかし、登記簿上は、オリックス不動産がGSビルを買収した事実はない。
実際には、オリックスグループが、GSビルを保有する大成商事(山形県)に融資し、返済できなかった場合に同ビルで支払う「代物弁済」の条項が設定されている。同ビルには他に複数の抵当権が設定されており、権利関係は複雑だ。売買予約もされてはいるが、「担当者が長期不在」という大成商事側からは、GSビルの売却方針をうかがうことはできなかった。
「急ぐ必要はない」。こう話すオリックス不動産。同社は、資金繰りなどに不安はないとみられ、飽和状態で価格も下落傾向にある仙台の不動産市況を前に、戦略を練り直している可能性もある。弱まる景気、飽和する市況。仙台駅前の開発熱にも木枯らしが吹き始めている。
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■仙台ホテル JR仙台駅前に立地する、地上9階、地下2階の高級ホテル。“仙台の帝国ホテル”とも称された。部屋数は112部屋、2〜5階は大小14宴会場とレストラン、バーなどがある。現在の場所での開業は明治20(1887年)。昭和20年の仙台空襲で建物は焼失したが、その後再建し、同39年の東京オリンピックに合わせ建物を刷新。平成17年に全面改装した。経営母体だった伯養軒から、17年6月にケン・コーポレーション(東京)などがホテルを買収。その後オリックス不動産が取得した。