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【春の叙勲】瑞宝単光章 宮城・こけし職人 今野幹夫さん(76)
「こけしは、ちょっとした筆遣いでがらりと表情が変わる。奥の深いこけし作りに魅せられ、無我夢中で作り続けてきた。努力を認めていただき、本当にうれしく思います」
こけし職人にとって、もっとも緊張するのは、目と鼻を入れる瞬間だという。「神経を集中させ、細い線を一気に引く。簡単なようですが、習得するまでに10年はかかる。それだけに、納得のいく表情が描けたときの喜びは格別」と、こけし作りの面白さを語る。
小さなころから、ものを作ることが大好きだった。柔らかい木を小刀で削り、飛行機や船、鉄砲などを作った。「特技を生かした仕事がしたい」と、20歳のときにこけし職人の師匠の門をたたいた。35歳で独立し、これまでに作ったこけしは数千体だ。
高度成長期に入ったころから、こけしで遊ぶ子供は減ったが、最近はぬくもりのある木製のおもちゃが見直され、こけしやけん玉などの需要は再び高まっているという。「伝統的な製法では、植物性の顔料しか使わない。しかし、最近は中国産の粗悪な類似品も増えている。そんな時代だからこそ本物を伝え続けたい」と、生涯現役を誓った。(今泉有美子)