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【特報 追う】出よ!第2のカリスマ社長
あるカリスマ起業家が学生を対象にした起業支援の奨学金を新設、その第1期生を東北地方で重点的に募集している。採用した学生を自ら直接指導するという熱の入れようだ。ところが、問い合わせは複数あるものの、東北の学生からの応募はまだゼロという。締め切りは来月10日に迫っている。低迷を続ける東北経済の新たな担い手は出てくるのか−。(山口圭介)
奨学金の母体となるのは、昨年11月に立ち上げられたNPO法人「創業支援機構」(横浜市)。技術者派遣会社「アルプス技研」の創業者で最高顧問の松井利夫氏が理事長を務める。
松井氏は、4畳半一間から始めた事業を東証一部上場の大企業に育て上げた起業家の先駆け的人物だ。次代の経済の担い手となる若い起業家を育てるため、奨学金をつくったという。
応募対象は起業を目指す全国の大学生、大学院生で採用数は15人。事業ジャンルは問わないが、応募者には起業のための具体的なビジネスプランの提出が求められ、採用者には1年間で総額36万円が支給される。
同機構の東北担当の高橋佳彦さんは「東北地方では首都圏との経済格差がどんどん拡大している。冷え込む一方の地元経済を建て直すためにも、多くの学生に名乗りを上げてほしい」と応募を呼びかける。
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ただ、奨学金が出たからといって事業が成功するわけではない。
国民生活金融公庫のこくきん創業支援センター仙台は「資金面にとどまらず、プラスアルファでどこまで支援できるかが重要」と指摘する。
同機構の奨学金は、支給額は月3万円と多くないが、充実した支援プログラムが売りだ。奨学生には先輩起業家との懇談会や海外研修、合宿などさまざまな特典が付いているほか、松井氏本人による直接指導も盛り込まれている。
起業を支援する団体はこれまで、行政や大学、第3セクターなどによって設立されたケースが多く、創業者として事業を発展させた経営者が自ら組織した団体は少なかった。
「経営は経営者しか教えることができない。魚(資金など)を与えるのではなく、魚の捕り方を教えたい」と意気込むカリスマ起業家が、起業ノウハウやベンチャースピリットを伝授する。
また松井氏は昨年4月にも「起業家支援財団」を設立しているが、神奈川県の認可によって創設されたため、支援は県内に在住在学の学生に限られていた。同機構は内閣府の認証を受けており、支援の場を全国に広げた形だ。
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もともと東北地方には、松井氏の寄付金で創設された起業志望の学生を支援する「松井奨学金」があり、複数の起業家を輩出してきた。しかし運営母体の地元シンクタンクの閉鎖とともに、2年前に打ち切られていた。
「東北には松井奨学金を通じた創業支援の土台もあることから、今回重点募集することにした」と高橋さん。仙台市には同機構の事務所も設けられ、採用15人のうち東北地方だけで5人程度を確保する予定という。
同センターによると、東北地方では創業期の企業への貸し付け数が平成15年度をピークに前年度割れの状況が続くなど、経済の衰退が著しい。
同センターの畑井太郎副調査役は「東北大をはじめ、IT教育が強みの会津大など優れた技術を持った大学が東北には複数ある。奨学金は小さな種かもしれないが、軌道に乗れば地元経済の活性化につながる可能性を秘めている」と期待を寄せている。
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【用語解説】創業支援機構奨学金
技術者派遣会社「アルプス技研」(神奈川県相模原市)の創業者で最高顧問の松井利夫氏が新設した奨学金。起業を目指す大学生、大学院生を対象に応募の受け付けを開始、締め切りは3月10日。奨学金の支給期間は4月から1年間となる。希望者は創業支援機構(電)045・350・2601まで。