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【特報 追う】もうひとつの「宮城」を歩く セカンドライフ

2008.1.14 02:35

 インターネット上の仮想都市空間「セカンドライフ」(SL)に、宮城県が全国の自治体で初めてテーマパークを開設した。仙台名物の牛タン、笹かまぼこ、こけしの店や楽天イーグルスの動画を鑑賞できるコーナーが出現。仙台市中心部の街並みをそのまま再現したエリアもあるという。メカ音痴を自任する記者だが、勇気を出してパソコン画面の“仮想宮城”に飛び込んでみた。(渡部一実)

 SLの世界では「アバター」と呼ばれる自分の分身をパソコンのキーボードで操作し、街を歩く。チャット機能を使って道行く人々と会話したり、現金通貨と交換できる仮想通貨「リンデンドル」(1リンデンドル=約0・45円)を使い、アバター用の衣服、食料、土地などの売買もできる。

 記者は日本語版の公式サイトで専用ソフトをダウンロード。「miyagi japan」と入力し、宮城県などが開設した仮想都市「セカンド宮城」に到着した。

 街のイメージは伊達政宗が作った仙台城下町。仙台城本丸や櫓、堀が3次元のコンピューターグラフィックで史実通りに再現され、城下町には、いずれも実在する「伊達の牛たん本舗」、仙台箪笥の「門間箪笥店」、清酒の「一ノ蔵」などの仮想店舗が軒を連ねる。

 店ではアバター用のお酒を買ったり、実際の商品の画像を見たり。楽天イーグルスのPRコーナーでは、昨シーズンの試合の模様を鑑賞できる。

 ただ、操作は結構難しい。キーボードの微妙なタッチがうまくできず、記者のアバターは右往左往。堀に落ちたり、目的地と反対方向に向かったりと、われながら恥ずかしい。道行く女性に声をかけると「大丈夫。すぐ慣れますよ」と励まされた。

               ■   ■

 SLにはさまざまな企業や団体がすでに参入している。日産自動車は小型車の試乗ができるようにし、スウェーデン政府はパスポートやビザの取得方法が分かる「仮想大使館」を設置した。「さっぽろ雪まつり」や「赤い羽根共同募金」もSLで行われ、集まった仮想通貨の募金は、日本円に換金され現実世界の募金になっている。

 宮城県がSLに参入したのは、地元IT企業の技術を披露する場をつくるため。同時に県の名物をPRし、県産品の販路拡大も狙う。「面白い街をつくれば訪問者が増え、それだけ宣伝になる」(県情報産業振興室)。県はクリエーター養成機関「デジタルハリウッド」(東京都)と提携し、今後もさまざまな企画を検討している。

 SLは企業宣伝や観光面で活用されるほか、街自体のPRにも使える。仙台市の広告代理店「第一プランニング」が開設した「ヴァーチャル仙台」。ここでは同市中心部の一番町、広瀬通などが本物そっくりに再現され、話題を呼んでいる。

 同社の佐藤誠弥社長は「多くの人に仙台を疑似体験してほしい。少しでも街のイメージアップにつながれば」と話す。店舗面積の不足など技術的な課題も多いというが、「不特定多数の人が行き交うSLはビジネスチャンスとしても、仙台を世界に発信するメディアとしても、大きな可能性を秘めているのは間違いない」。

 現実世界の職業や年齢、容姿、社会的立場などに関係なく、自己表現や経済活動ができるSLの世界。数年後には、より本物の人間に近いアバターが登場するといわれ、ますます注目を浴びそうだ。あなたもパソコンを立ち上げ“もう1人の自分”を楽しんでみては?

【用語解説】セカンドライフ

 米リンデン・ラボ社が平成15年に開発、運営している。インターネット上の仮想世界の洋上に無数の島(スペース)があり、同社が1島約20万円で販売。参入者はその島を買い、個性的な街や施設をつくって人を呼び寄せ、広告宣伝、市場調査などに活用する。利用者は全世界で1000万人を超え、うち80万人は日本人と推定されている。

 課題として(1)英語利用者を前提としたソフトのため日本人になじみにくい(2)仮想通貨を使用した詐欺、犯罪行為のおそれがある(3)性的表現や暴力的表現、誹謗(ひぼう)中傷を規制しづらい−ことが指摘されている。

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