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【特報 追う】2008年回顧(5)不正経理のツケ 来年ズシリ
会計検査院の指摘で発覚した国庫補助金に絡む岩手県の不正経理問題。当初は農林水産、県土整備両部だけの問題とみられていたが、その後の調査でほぼ全庁的に広がった、しかも長年にわたって行われていたことが判明。県警本部や県内市町村でも不正が明るみに出て、県民の信頼を大きく損ねた。達増拓也知事は「再発防止に努め、年度内に上司の管理監督者を含め関係職員の処分を決める」としているが、ただでさえ財政窮乏の折、補助金の返還金をどう捻出(ねんしゅつ)するかなど課題は先送りされたままだ。(石川裕司)
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会計検査院の指摘を受けて県が当初公表した平成14〜18年度の不正経理額は、約1億 770万円(補助金ベース)。内訳は「需用費」が農林水産部約4650万円、県土整備部が約1740万円の合わせて約6390万円。「賃金」が両部で約2130万円、「旅費」が両部で約2260万円。
不正経理は、あらかじめ公金を民間業者に預けて管理させ、後に事務用品などを納入させる「預け」や、名目とは別の物品を納入させる「差し替え」▽翌年度に納入した物品を年度内に納入したように見せかける「年度越え」などさまざまな手法で行われた。納入品の中には机、パソコン、プリンター、USBメモリなど事務用品とは全く異なる物品や、ラジオ体操CD、洗濯用のホース、のどあめなども含まれていた。
また、賃金、旅費は本来、県が負担すべき職員の人件費や出張旅費などを補助事業の対象外にもかかわらず、補助金で流用していた。
この問題は当時開会中の県議会(9月定例会)でも取り上げられ、決算特別委員会では2日間にわたって集中審議が行われた。達増知事は弁護士など第三者を交えた調査機関を設置し、全庁的な調査を実施する意向を示したが、議会側は「不正経理の全容が明らかになっていない」などとして、19年度一般会計、特別会計の決算認定14件を継続審査とし、県に詳細な調査を実施するよう迫った。
これを受けて、県は10月末から全庁的な調査に乗り出すとともに、第三者機関の「需用費等調査検証委員会」(委員長・吉田瑞彦弁護士)を設置し、事実関係の確認などを進めた。
調査は範囲を14年度から20年度まで広げ、11機関の延べ約5890人の職員から聞き取りを行ったほか、取引のある業者60数社を訪れて帳簿類などを確認した。その結果、不正経理は県教育委員会を含めた8部局で行われていたことが判明。総額は需用費だけで約1億5100万円に上り、会計検査院が国会に報告した額(約1億1300万円)より約3800万円上回っていることが分かった。
調査では、こうした不正処理が13年度以前から恒常的に行われていたことが浮き彫りになったほか、物品を発注した職員の手元に納品書などの伝票はほとんど残っておらず、業者の帳簿で帳尻を確認するというずさんな実態も明らかになった。
一方、全庁調査結果については12月県議会でも本会議、決算特別委員会を通じて疑問の声が相次いだ。これに対し、知事はじめ県幹部は「私的流用はないと考えている」と答弁し、裏金の存在を否定したが、議会側は納得せず、戦後初めて19年度一般会計と特別会計1件の計2件を不認定とした。
また、需用費等調査検証委員会の吉田委員長は「1カ月に満たない短期間でよくまとめたと思う」と評価する一方、「委員に調べる権限や時間的余裕はなく、 100%調査できなかったので、(結果には)じくじたる思いがある」と述べた。
一連の不正経理問題について達増知事は「再発防止策をきちんと行い、県民の信頼にこたえられるような県政にしたい」と強調。再発防止策として物品調達システムの見直し▽内部統制の強化▽予算執行システムの見直し▽国への制度改革要請−などを掲げ、一部については今月から実施しているほか、年度内には知事自身も含め、管理監督者、関係職員の処分を決める方針を打ち出している。
最重要課題は、国への補助金の返還。返還額そのものは今後の各省との折衝で決まるが、賃金、旅費を合わせた不正処理総額は2億円を超えており、財政難の中でどう捻出するのか県幹部は頭を悩ませている。
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【用語解説】不正経理問題
会計検査院が12道府県を対象に国庫補助事業をめぐる補助金の使途を調査した結果、すべての道府県で不正経理が判明した。当初、岩手県の不正総額は約1億 770万円で、愛知県の約1億3000万円に次いで多かったが、その後の全庁調査で需用費だけで不正額は約1億5100万円に膨らんだ。
また、県警本部、盛岡市など7市町村でも補助金に絡む不正経理が発覚した。