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【特報 追う】「閉校」7中学生、春夢み歌う ジャズ歌手と紡ぐ思い出
深刻な少子化、過疎化に伴い、特に農村地帯や山間部では学校の統廃合が進んでいる。岩手県では今春、小・中学校合わせて13校が長い校史の幕を閉じる予定だ。花巻市立田瀬中学校(嶽間澤茂校長、生徒数7人)もその1つ。生徒たちは新たな旅立ちに向け、1人の女性歌手の応援を得ながら、思い出づくりに励んでいる。(土樋靖人)
今月18日、田瀬中の音楽室に、生徒たちとジャズシンガー、megさんが紡ぎ出す『Christmas Rose』(湯川れい子作詞、押尾コータロー作曲)のハーモニーが満ちた。この歌は昨年11月にCDリリースされたばかりの曲。生徒たちはいま、卒業式と閉校式に披露しようと毎週1回、音楽の時間に練習を重ねている。
およそ1カ月前、megさんが北上市内で開いたライブコンサートで歌っているのを、田瀬中の音楽の非常勤講師、玉山朱美さんが見て、その場で「子供たちに歌わせたいので、楽譜をいただけませんか」と願い出た。
やわらかい旋律に乗り、「雪に打たれても、明日のためにゆれている」「涙こぼれても、春を夢見て微笑む」と歌われるクリスマス・ローズ。「卒業式で歌う歌を探していた」玉山さんには、生徒たちがこれからの人生を歩んでいく上で、こうあってほしいと願う姿が重なったらしい。
megさんは玉山さんの願いに快く応じたばかりか、中学校へ出向き、一緒に練習することを申し出た。
この日、megさんは風邪で欠席した多田夏美さん(3年)以外の生徒6人に、「クリスマス・ローズは冬に咲く花。一生懸命生きる女性の姿と重なっている」などと説明しながら、何度も一緒に歌い続けた。
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実は、『Christmas Rose』は岩手発信の歌でもある。
滝沢村でクリスマス・ローズを生産し、盛岡市内で花屋を営む高橋和重さんの父、信さんの「クリスマス・ローズを広めたい」という思いが巡り巡って、アーティストのプロモーションなどをしている「ギャンビット」(東京都)の事業部長、平野治さんから湯川さんへと伝わった。ちなみに、平野さんも岩手は北上市の生まれ。
高橋さんは「まさか本当に、歌になるとは思わなかった。頑張って花を作っていこうと励まされる」と感謝する。
megさんは毎月数回、岩手を訪れ、盛岡市や北上市のショッピングセンター、雫石町の小岩井農場などでライブ活動を展開している。そこには高橋さんもかけつけ、「クリスマス・ローズはこんな花ですよ」と消費者に紹介している。
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花巻市東和町の田瀬地区は市の東南端に位置する。1月末現在、 189世帯で、人口 591人。田瀬中に通う生徒はみな、田瀬地区の子供たちだ。田瀬中は昭和22年春、谷内村立田瀬中として開校し、昨春までに1143人が卒業している。
今春の卒業生は3人。進学希望で、別々の高校、高専を目指している。4人の2年生は、4月からは15キロほど離れた東和中に通う予定だ。
生徒たちは「辛いときでも頑張っていこうと思う」(平楓吹さん=3年)、「あと1カ月、悔いのないように過ごしたい」(伊藤里紗さん=2年)などという思いを胸に、『Christmas Rose』を歌う。一方、嶽間澤校長は「3年生は力強く旅立ってほしい。2年生には力を合わせて、新しい中学生活に臨んでほしい」と願う。
megさんは15日の卒業式、22日の閉校式にもかけつけるという。
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【用語解説】岩手県内の市町村立小・中学校の統廃合
来月までで小学校は9校、中学校は4校閉校し、平成20年度は小学校 420校、中学校 193校となる見通し。ピーク時には、小学校が 785校(昭和31年度)、中学校が 400校(同32年度)あった。県教委学校教育課では「閉校となるのはほとんどが小規模校。学校は地域のシンボル的存在だが、小規模校では切磋琢磨する教育ができないのではないかという不安があり、保護者にはジレンマがあると思う」と話している。
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【用語解説】クリスマス・ローズ
福寿草などと同じキンポウゲ科の花で、バラ科ではない。原産地は地中海沿岸や西アジア。高橋和重さんによると、「ない色は青ぐらい」。暑いと休眠し、寒さによって芽がつくのが特徴。岩手では露地栽培なら5月ごろから花が咲くが、夏場に涼しい所に株を“山上げ”すると、開花を早められるという。高橋さんは「何とかクリスマス前から出荷できるようにしたい」と奮闘している。