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【特報 追う】世界遺産登録へ 中世の水田風景を守れ 

2008.1.28 02:52

 今年夏にも世界遺産登録が期待される「平泉−浄土思想を基調とする文化的景観」。遺産構成施設は岩手県平泉町を中心に両隣の一関市、奥州市に広がる。その一つ「骨寺村荘園遺跡」(一関市)では今秋以降、景観保全農地整備工事が始まる。ブランド米作りなど、地域住民による農村景観を守る取り組みも本格化する。(石川裕司)

 一関市中心部から国道342号を西へ約20キロ、奥州市衣川区へ通じる県道を右折して間もなく、道路右側に一面の銀世界が広がる。かつて中尊寺(平泉町)の荘園だった骨寺村荘園遺跡(同市厳美町本寺地区)。雪解け後にあらわになる、耕作地が連なる農村風景は、同寺に伝わる絵図とほとんど変わらず中世の面影を色濃く残している。

 地区の中央部を流れる本寺川の両岸に、約80ヘクタールの水田が広がる。10アール前後から8メートル四方まで大きさはさまざまだが、どちらかというと小規模の水田が多い。

 伝統的な農村景観を守りながら、水田耕作を継続させるため、市は昨年3月、農業者の要望を受け入れて「骨寺村荘園遺跡整備活用基本計画」を策定した。県と市は今秋から、水田下に排水管を入れて水はけを良くする工事のほか、農業機械が出入りできる耕作道の整備、区画整理、水路の保全といった農地整備工事をスタートさせる。

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 営農者も、世界遺産登録に向けて、景観を守る農業経営に力を入れ始めた。地区の農業者22人で作る骨寺村荘園米研究会は、今秋から収穫する「ひとめぼれ」を、ブランド米「骨寺村荘園米」として売り出そうと登録商標を申請した。

 研究会の佐藤弘征会長は「安全・安心なブランド米を作るため、有機栽培で農薬、化学肥料を一切使わないなど厳しい条件を付ける。研究会の基準に適合したものを荘園米として出荷したい」と意気込む。

 とはいえ、地区の約60戸の農家のうち、3割が70代。高齢化が進む中、地区の全員でブランド米を栽培するのは難しく、稲作を続けられるかどうかもままならない。佐藤会長は昨年、約180アールの水田でコメを作付けした。今年は、コメ作りを続けられなくなった高齢者の依頼を受け、作付面積がさらに100アールほど増える見通しだ。

 佐藤会長は「農業後継者が育たないと、耕作地は減少し、荒れ地が増えて景観が変わる懸念がある。遺産登録された後の方が農村景観を守る責務が大きくなるが、地域ぐるみで守っていきたい」と語る。

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 地元住民で組織する本寺地区地域づくり推進協議会(佐藤武雄会長)も、地域活性化と景観保全の両立に知恵を絞っている。

 昨年12月22日に行われた中尊寺への荘園米奉納は、かつての荘園とのつながりを復元し、世界遺産登録に結びつけようと同協議会が企画・主催し、住民約40人が参加した。

 同協議会は、地区の重要景観を守るため、市に減反について特例措置を講じるよう要請したほか、新たな地元特産野菜の開発にも力を入れている。

 また、協議会と荘園米研究会が共同で2年前から実施している田植え、稲刈りツアーも、活性化につなげたい考え。研究会の佐藤弘征会長は「遺産登録となれば、観光客は年間を通じて訪れる。田植え、稲刈りツアーだけでなく、日帰りや宿泊してもらっての農業体験など、さまざまなイベントを打ち出していきたい」と夢を描く。

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 ■骨寺村荘園遺跡 平安時代の12世紀から15世紀まで、中尊寺経蔵別当の所領だった地域。重要文化財の「陸奥国骨寺村絵図」2枚が、関係古文書とともに中尊寺に保存されている。村名の由来となった骨寺は、絵図に骨寺堂跡などと記されており、鎌倉時代に廃寺となった。平成17年に「骨寺村荘園遺跡」として史跡に指定され、18年7月には遺跡のある「一関本寺の農村景観」が重要文化的景観に選定された。

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