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【特報 追う】文教地区に仮出所更生施設 “寝耳に水”の住民反発
法務省が8月からの運用開始を予定している「自立更生促進センター」(福島市狐塚)が周辺住民らに波紋を広げている。住民は施設の運用中止などを求めて署名集めを始めた。法務省も今になって付近住民や学校関係者らへの説明に追われている。運用開始を間近に控えたこの時期に、なぜこんな混乱が生じたのか−。(小野田雄一、写真も)
「仮出所者の保護施設がこんな街中にできるなんて知らなかった」。2日に記者会見した周辺住民らでつくる「市街地周辺地域の安心を守る住民の会」のメンバーは、そう訴えた。
同会が危機感を抱くのは、次のような点を指摘できるからだ。一つは、この施設が、薬物依存や性的嗜好(しこう)、暴力性向のある仮出所者を中心に受け入れる施設であること。そして、生活のめどがつけば退所するため、多くの仮出所者が市内に居住する可能性もある。小中高校が密集し多くの子供たちが行き来する文教地区にあり、仮出所者が午後10時の門限まで施設から外出できる点も、重要な問題点と指摘する。
法務省の平成13〜18年の5年間の統計によると、仮出所者の約4割が再入所、数%が所在不明となっている。同会は、仮出所者による再犯を率直に危惧(きぐ)している。
同会の熊坂良太さん(30)は「『更生保護施設は住民の反対のある場所では運営しない』と法務省は明言しているにもかかわらず、周辺住民に十分な説明をせずに建設を進めていた。私も先月までまったく知らなかった」と法務省の対応を批判する。
同会は6日、施設の運営中止などを求める署名集めを福島駅前で実施し、瞬く間に約400人分の署名簿ができた。
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なぜ今回のような問題が生じたのか。同会の男性(73)は「住民が反発するのは目に見えている。法務省はあえて説明を最小限にとどめたのではないか」と不信感を抱く。
実際、同施設の建設が予定されていた京都、福岡両市では、住民の反対運動が起き、建設が進んでいない状態だ。
法務省によると、福島保護観察所敷地内への同センター設置が決まった平成18年、周辺の町内会長らを対象に説明会を開催。その際、地区住民への広報も依頼した。その後目立った反対がなく「住民から一定の理解は得られた」として建設を始めたという。
しかし、福島市には施設の建設計画を伝えただけで、市の広報誌などを通した告知などは依頼しなかった。また、周辺の学校にも説明していなかった。
同施設にもっとも近い学法福島高校は、6月10日に住民からの情報提供ではじめて、同施設の建設計画を知ったという。
同校は「施設の必要性は認めるが、なぜこのような文教地区に建設するのか。性犯罪者は再犯率が高いというデータもあり、生徒の安全が100%保証されない以上、施設は別の用途で使われるのが望ましい」と、困惑。同校PTAを中心にした反対署名は約2000人に上っているという。
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法務省は「説明が不十分だった側面はあり、反省している」とする。しかし「施設には“社会復帰に問題なし”と判断した仮出所者を入れるほか、監視も24時間行う。また仮出所者は、満期出所者と違い、国の監視下に置かれるため、再犯の心配は少ない」ことなどを挙げ、住民の理解を得ていきたい考えだ。特に住民の懸念が強い、未成年者を対象とした性犯罪者の入居は、外す方向で検討に入ったという。
だが、同施設は本来、民間施設では対応できない性犯罪者・薬物依存者らも受け入れ、国の責任で専門的なプログラムを施して更生させるのが目的。入居対象を絞りすぎれば、施設の存在意義を問われかねない。
法務省は「運営の中止や施設の用途変更は考えていない。住民の方々と連絡協議会を設置し、運営していく中で理解を得ていきたい」という。
今回の騒動で、住民らに生じた法務省不信は根深い。仮にセンター入居者が地域で再び犯罪を起こすようなことが起きれば、その不信は決定的なものになるだろう。法務省には積極的な情報公開と入所者の適切な管理が求められている。
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【用語解説】自立更生促進センター
受刑者が仮出所したのち、国の責任でその社会復帰を支援する施設。受け入れ対象は、親族など適切な帰住先がなかったり、既存の民間矯正保護施設では対応が難しい仮出所者。平成18年に法相の設けた有識者会議の提言で設置が決まった。構想では、20年度に福島市、21年度に京都、福岡両市に施設を整備するとし、福島では今年8月からの運営が予定されている。福島の施設では一度に20人が住むことができ、1年間で約80人が入居する予定。