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【特報 追う】PTA事務員賃金訴訟 「県と労組の代理戦争」

2008.3.2 02:17

 昨年5月、全国で初めて解散を議決した福島県立白河高校PTA(白河市)。同PTAの元契約事務員の女性(43)が、解散や契約終了などは不当とし、PTAの元会長2人に対し、未払い賃金の賠償や慰謝料など約 256万円を求め、福島地裁白河支部(高瀬順久裁判官)で訴訟となっている。表面上は個人間の争いに見えるこの訴訟だが、実際は県と労働組合との「代理戦争」であることが見えてくる。この裁判の本質とは何か−。(小野田雄一)

 被告となったのは、平成18年度と19年度の元会長2人。

 訴状によると、元会長らは平成19年2月、PTAの財政悪化を理由に、17年間契約を更新してきた女性の19年度賃金を約 291万円から約 177万円に変更する通達をした。これを拒んだ女性を不当に解雇。女性が同年4月にPTAを提訴すると、裁判を逃れるためPTAを解散し、女性に支払うべき平成19年度の賃金を払わなかった、とされる。

 これについて元会長側は「PTAは役員報酬もなくボランティアで成り立つ任意団体で、その存在目的は子供の教育環境を整えること。事務員はその目的達成のために雇っており、人件費がかさんで目的が達せられなくなるなら、賃金削減は仕方ないし、応じてもらえないなら別の人を探すしかなかった」と反論。

 また解散については「PTAには裁判を闘う能力がないとして、総会の合意で決定した。不当ではない」としている。

    ■   ■

 なぜこうした問題が生じたのか。原因の1つは、少子化によるPTAの財政悪化だ。

 同PTAの平成13年度予算は1035万円。しかし少子化が進み、19年度には予算が 792万円まで減った。女性の賃金はその間変わらず、予算に占める人件費の割合は最大46%に達した。

 また、県がPTAの財政に依存している現状にも問題がある。

 女性の弁護団も2月5日に開かれた口頭弁論の意見陳述で、「今回の問題の背景には、県の教育予算が削減され、本来県が払うべき学校設備の費用をPTAが肩代わりしている実態がある」と認めている。実際に、教室のエアコン設置などがPTAの予算で行われるケースは多い。

 さらに原告を支援している福島県立高校教職員組合の高橋聡書記長も「事務員は実際には学校の事務室で、県職員の仕事のかなりの部分を肩代わりしている。だから本来は県が雇用すべきで、そうしていれば今回のような問題は起きなかっただろう」という。

 これに対し、県教委は「PTAは県とは無関係の団体。PTAの事務員の実態は把握していない」という。

 公的団体でないとはいえ、学校教育を側面から支援しているPTAに対する県の姿勢は冷たいようにも思える。

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 文部科学省の平田秀一・地域学習活動推進室長は「少子化によるPTAの予算縮小が進み、今後もこうしたトラブルが起こる可能性は高い」と指摘する。

 現在、元PTAの保護者らにより元会長2人を「支援する会」が結成され、1000人以上が参加している。しかし元会長らは「裁判費用の問題でPTAが解散したことを考えると、支援者から寄付を受けるわけにはいかない」とし、弁護士を雇わずに法廷に臨んでいる。

 これに対し、請求額をはるかに超える費用をかけ、組織の力で弁護団を結成して法廷で争う原告側。また、いったんは賃金削減で納得した女性に、労組が拒否するよう指示したとされる(この点を原告側は否定していない)経緯も不明確だ。

 しかしこの訴訟は、「少子化時代を迎えたPTAの望ましいあり方とは何か」という本質的な問題を突きつけていることも事実。地裁がどのような裁定をするのかが注目される。

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