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【特報 追う】シーラカンス撮った タンザニア沖で初 次は“世紀の発見”稚魚 

2007.11.14 03:01

 福島県いわき市の水族館「アクアマリンふくしま」の調査隊が今年9〜10月、アフリカ・タンザニア沖でシーラカンスの生態調査を行い、同地としては世界初となるシーラカンスの水中撮影に成功した。調査隊で自走式水中カメラ(ROV)オペレーターを担当した同館職員の山内信弥さん(33)に話を聞くうちに、数億年前から生き続ける“生きた化石”と現代との意外な関係が見えてきた。(小野田雄一)

 9月30日、タンザニアのタンガ州沖。山内さんは小型ボート上でROVを操作していた。

 正午ごろ、船上に送られてくる画像に丸い緑色の光が映った。「シーラカンスの目かも−」。光の方向にROVを近づけていった次の瞬間、岩の切れ目に隠れているシーラカンスの姿が画面いっぱいに広がった。

 「見つけた瞬間は『やったぞ!』と気持ちが沸き立ちました」という。

 実は山内さんが本番でROVを操作するのはこれが初めてだった。これまでは先輩の調査員が1人で担当していた。ROVの操作は、岩への衝突を回避したり、映像だけを頼りにROVの状態を把握したりする必要がある。極度に神経を使うため、1人が1日に操作できるのは4〜5時間が限度。そのため山内さんが新たにROV担当に任命された。

 山内さんは「ROVを任されたときは『できるかな』と不安で練習を重ねました。発見できてほっとしています」と屈託のない笑顔を見せた。 

 最終的に、9月23日から10月9日までの調査で、調査隊は延べ9個体のシーラカンスを発見。山内さんはそのうち8個体の撮影に成功した。

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 アクアマリンふくしまはなぜ、シーラカンスの調査に力を入れているのか。

 同館の安部義孝館長が説明する。「当館の開館コンセプトの1つは『生命の進化』。だから魚から陸上生物への進化の鍵を握っているシーラカンスの調査を始めました。同時に、希少生物の保全という観点からも、調査は意味深いと思っています」

 今回の調査の成果は、シーラカンスの新たな生息地を見つけたことだ。

 これまでにアフリカでシーラカンスが確認されていたのは、南アフリカとコモロ諸島だけだった。しかし近年、遠く離れたタンザニアで捕獲例が急増。新たな生息地である可能性が高いと注目されていた。それを調査隊が世界で初めて実証した。

 今後もインドネシアなどに調査隊を派遣、新たな生息地や生息範囲の特定を目指すという。

 山内さんの次の目標の一つは、シーラカンスの稚魚を見つけることだ。シーラカンスの卵は親魚の体内で孵化(ふか)し、30センチほどの大きさになった段階で体外に出ると考えられている。しかし今まで、生きた稚魚が見つかった例はなく「どこでどのように生きているのか分からない。もし撮影できれば世界中の人が驚く大発見」と目を輝かせる。

 “生きた化石”シーラカンスの学術調査は、われわれに古代へのロマンを与えてくれる。

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 一方で調査には、学術的な意義とは別の意義もあるという。

 今回の調査が行われたタンザニアでは、近年捕獲例が増えた漁村で、一部の漁を自主規制している。シーラカンス保護を重視する政府の指導によるものだ。そのため漁師たちは、生活に苦しんでいるという。

 シーラカンスなど希少種保護に対する国際的機運が高まる一方で、そこで生活する人々の生活は圧迫されるという皮肉。難しい時代に入ったといえそうだ。

 山内さんは「今回の調査でどこにシーラカンスが生息しているのか分かった。今回のデータを保護活動と漁の両面に役立ててもらえればうれしい」と話している。

 同館はこれまでの調査結果を踏まえ、11月24日に「シーラカンスの謎に迫る!2007」と題したシンポジウムを開催する。

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 ■シーラカンス 古生代デボン紀(約3億6000万年前)に出現した古代魚。恐竜とともに白亜紀末(約6500万年前)に絶滅したと考えられていたが、1938年、南アフリカ沖で化石と同じ姿の個体が発見され、世界中から脚光を浴びた。その後はインドネシアなどでも捕獲されている。

 成魚の体長は1〜2メートル。ただし化石では4メートルにも及ぶ巨大な個体も発見されている。現在の生息地は水深約100〜300メートルの深海だが、かつては浅い海や淡水域でも生きていたようだ。

 進化の歴史上では、魚類と陸上脊椎(せきつい)動物の中間に位置するとされ、かつて陸に上がったシーラカンスの仲間がわれわれの祖先になったと考えられている。

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