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【特報 追う】復活なるか清水森ナンバ 青森

2008.12.8 02:32

 ■弘前の伝統トウガラシ 高い栄養価脚光、ブランド化

 城下町・青森県弘前市に古くから伝わるトウガラシ「清水森ナンバ」。この弘前在来のトウガラシの特産化、ブランド化を目指して生産者・加工業者、学識経験者など産学官が連携して清水森ナンバを使った商品化を進めている。弘前大の研究で栄養・機能面から極めて食品価値が高いとされる清水森ナンバの産地復活の取り組みに迫った。(福田徳行)

 清水森ナンバは約 400年前、津軽藩の初代藩主・津軽為信公が京都から持ち帰って広めたと伝えられている。旧陸軍の八甲田雪中行軍に保湿剤として使われていたという記録もある。

 最盛期には同市内で約10ヘクタール作付けされるなど、全国でも有数のトウガラシの産地だったが、昭和40年代後半から安価な輸入物の影響で、価格競争ができなくなると作付面積が激減、平成10年ごろには0・2〜0・3ヘクタールだけとなった。

 存続の危機にさらされていたとき、弘前大の嵯峨紘一元教授(現非常勤講師)の講演がきっかけで、清水森ナンバの産地復活プロジェクトがスタート。40年以上、トウガラシの研究に携わっている“トウガラシ博士”の異名を持つ嵯峨元教授は、清水森ナンバと出会ったときの心境をこう語る。

 「形は大ぶりで肉厚で幅が広く、風味豊かで色もいい。しかも甘味があり、辛味が少ない。何とか復活させたいと思いました」

 同大の成分分析で、清水森ナンバの赤と「鷹の爪」を比較した場合、辛味成分のカプサイシノイドは鷹の爪より低いが、糖分は約 1.8倍、ビタミンA、C、Eの含有率も非常に高い。嵯峨元教授は「清水森ナンバが栄養・機能面で極めて食品価値の高い証拠」と魅力を語る。

 清水森ナンバに魅せられ、試験的に広島県で栽培してみたが失敗。「もともと、南の物であるトウガラシの中で津軽の風土に合うように自然に選抜されて生き残ったのが清水森ナンバではないか」とは嵯峨元教授の説だ。

 生産者、加工業者、学識経験者らが手を携え、清水森ナンバの産地復活とブランド化確立のために、16年に「在来津軽清水森ナンバブランド確立研究会」(中村元彦会長)を設立。発足当初、会員がわずか2農家、生産量 109キロで始まったが、現在は43農家、10加工業者と会員が増え、生産量も約9トンまで拡大している。行政側も産地復活を後押しする形で、弘前市が作付け農家に対し、苗の購入代金の15%を補助している。

 ただ、トウガラシ栽培は非常にデリケートだ。ナス科トウガラシ属のため、トマトやナスなどと一緒に植えると連作障害を引き起こす。さらに、清水森ナンバは他の品種と交雑しやすいという特性もあるため、研究会では生産者に対し、自家採種の禁止や春先の土壌検査を義務付けている。加工業者も必ず研究会に入会してもらい、他のトウガラシと混ぜたものは清水森ナンバとして販売してはいけないと決めている。生産地域も同市と平川市、西目屋村に限定。

 中村会長は「専門家が種取りをするなど、管理を厳密にやらないと清水森ナンバとしての価値観が損なわれる。だから農家には徹底して栽培方法を厳守してもらっている」という。

 年々、生産量が拡大し、商品化も着実に進んでいる。一味、焼きはもちろん、夏場限定のドーナツ、ソフトクリーム、しょうゆ漬けなどの加工品も販売されている。さらに、研究会では付加価値を高めるため、観光とのコラボレーション、温泉旅館とのタイアップのほか、辛味成分のカプサイシンと青、赤だけでないカラフルなトウガラシなどの研究も進めている。また、自然乾燥させたものから種を採って栽培するのを防ぐために、発芽しない処理も研究中だ。

 中村会長によると、バイオ燃料への取り組みと衛生処理の問題から今年は中国、韓国などからの青トウガラシの輸入が減っているという。それだけに、この古くて新しい清水森ナンバの認知度が徐々に広がりつつある。

 「こういうことは栽培農家がもうかるようにしないと長続きしないし、農家の自信にもつながる。できるなら世界レベルに持っていきたい。そのために、原料をしっかり確保し、生産者を増やしたい」と中村会長。清水森ナンバのブランド化の日は近い。

             ◇

 ■トウガラシ 京都市伏見区付近でかなり古くから栽培されていた在来種「伏見とうがらし」が有名。実は10〜12センチで辛味がないため「伏見甘長とうがらし」とも呼ばれ、焼きトウガラシ、天ぷら、油いため、煮物などに利用されている。このほか鷹の爪、八房、札幌大長なども知られている。

 清水森ナンバの問い合わせ、購入希望は青森県特産品センターのホームページ(http://www.aomori−shop.com)か(電)0172・39・1811。

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